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自転車保険の加入義務化

全国の自治体で加入を義務付ける動きが広がる自転車保険。au損害保険が1月に実施したアンケート調査では、実際に保険に加入している人の割合は全国で57.3%と昨年度に比べ1.3ポイント増えた。増加はしているものの、条例の存在や賠償が高額になるリスクを知らないため、加入しない人も一定程度いるようだ。
【2020/3/21付日本経済新聞 朝刊より】

街を歩いていて、後方から猛烈なスピードで追い越されたり、周囲を見る様子もなく平気で信号無視をする自転車に、恐怖や怒りを感じたことのある人は少なくないでしょう。自転車免許制の導入が議論されるほど、最近の自転車は恐ろしい存在となっています。免許制度の実現可能性はまだ低そうですが、自転車による人身事故に関して最近多くの自治体で制度化(条例化)されつつあるのが「自転車保険加入の義務化」です。
「自転車保険」の内容は様々あるのですが、最近義務化されるようになったこの保険の本来の目的は「自転車事故被害者の救済」「賠償支払いの実現」なのです。


2013年に小学5年生が加害者となった自転車事故について、裁判所が9500万円の賠償金支払いをその母親に命じて話題となりました。そのころから少しづつ「自転車保険の必要性」が語られるようになり、加入義務化の波が徐々に広がりつつあるというわけです。この状況は保険業界にとっては一種の顧客拡大チャンスですので、各社から色々と案内がなされているようです。しかし上記のように義務化の本義は「被害者救済」が中心ですから、その主旨を理解したうえで、勧められるままではなく、無駄のない、無理のない加入をするほうが良いですね。
冒頭のような無謀な自転車に限らず、うっかり自転車で他人にケガを負わせてしまうことは誰にも有りうる事態でしょう。そんな時に賠償金を保険で払ってもらうために必要なのは基本的に「個人賠償責任保険」であり、損害保険会社が担う分野です。この保険は多くの保険会社において単体の販売ではなく、「特約」での補償となっているのが実情です。


一般には以下のような手段があります。
自動車保険の特約・・・自動車保険(任意保険)にプラスする
◆火災保険の特約・・・・ご自宅の火災保険、家財の火災保険にプラスする
◆傷害保険の特約・・・・ケガの保険に「個人賠償責任補償特約」をプラスする

この特約で補償されるのは「同居の家族全員」です。自動車保険や火災保険に加入している家計では、まずその内容をチェックしてみましょう。これら損害保険にプラスする個人賠償責任保険は保険金の上限が設けられているもの(1億円、2億円、3億円など)と上限なし(補償額無制限)のものもあります。プラスされる保険料は1年間で大体1,000円~2,000円程度です。他人への賠償補償に加えて「乗っている自分のケガ」なども必要と考えるなら「傷害保険+個人賠償特約」の選択となります。

なお一部、通信販売などでは賠償責任保険単体の販売もあるようです。
まずはご自分の損害保険の加入状況をチェックして、未加入なら特約をプラスできるかどうかを確認する、それが不可ならネット通販などで加入を検討する。とにかく無保険状態の解消が最優先と思います。


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自転車保険