独立FPの独白ブログ

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■右翼と左翼


右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)


右翼とは、左翼とはなんだろう?
この素朴な疑問がアタマの中でむくむくと湧き起こり、少しづつ大きくなるのを感じたのは数年前のことでした。三島由紀夫自決事件やら浅間山荘事件やらよど号ハイジャック事件などをリアルタイムで知っている時代の人間ならば、普通は高校とか大学生時代にこの疑問にぶち当たるのだろうけれど、超ノンポリ少年であった私はなんと50歳近くなってようやく右翼・左翼について興味を覚えたというわけです。情けないとは思うけれど、かなりの「おくて」とは言え興味を持つに至ったのだからまあ許して頂きましょう。


その疑問を解消するには何をどう学べばよいのかが40代後半まで政治・思想・近代史音痴であった私にはどこからどう入ってよいのか皆目見当がつかず、図書館で時々よしりんさんのゴーマニズムを拾い読みしてみたり、宮台真司首都大学東京準教授)の書物を買いあさってみたり、ちくま新書やら文春新書やら岩波新書、講談社学術文庫で思想について、戦後政治について、民主主義について、憲法についてあちこちを読んでみました。(新書が多いねえ・・・)
昨年はエイヤッの気合で6,300円(+税)もする小熊英二著「民主と愛国」を購入したものの、いまだ200頁(戦後天皇制が維持されることになった経緯とその前後の国民心情などのあたり)までしか読み進んでいないという状態なのです。


さて、そんな私が年末に正月用に数冊買った本の中にこの「右翼と左翼」はあったのです。それを先日読了しました。ひとことで言って、右翼思想・左翼思想とはなんなのかについてとにかく基本的なことを知りたいと考えている思想ド素人には大変良いご本だと思います。
圧政体制を崩壊させ、自らの権利を勝ち取ったものが左だとすれば、その左もやがて権力を行使する側になって右と変化する不思議。右の右に極右があり左の左には極左がある、アメリカでもかつての革新勢力リベラルが今やネオコンなど保守主義と強力に結びついていたりもするし、まあ訳が分からないこの世界です。


なぜそんなことになってしまっているのかと言えば、それは思想とは人間が作り出しているものだから、ということなのでしょう。頭の良い優秀な哲学者やら思想家やら理論家、学者さんたちが寄ってたかって議論しても、人間の恒久平和はいまだ構築できずにいるのだし、正しいのは右なのか左なのか、結論など到底出ることもないのかもしれません。
ひとは皆、常に揺れ動いているのです。「ソ・ソ・ソクラテスプラトンか♪ みんな悩んで大きくなったああ」(野坂昭如・唄)



私自身はと言えば、大企業の横暴、金満家のエゴに怒り続ける左翼であり、皇室番組を好んで見たがる右翼です。また、国のために命を捨てる気にはなれないので右翼ではないし、社会主義は決して成り立たないだろうと考えるので左翼ではありません。右翼でもあり左翼でもあり、かつ右翼ではなく左翼でもなく中道でもないようです。人間、「どっちかだ」などという単純なものではないのです、本当は。


へんてこりんな極右や極左、あるいは偽右翼、エセ・サヨクに感化されないように、なんだか分からないままにナショナリストになる前に、とりあえず右翼とは何?左翼とは?の基本的問いかけに、自分なりの考えを少しは言えるようになりたい方にはお薦めです。(あくまでも初心者向けと思われます)