独立FPの独白ブログ

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この1年で感じた色々なこと(4)

私たちは電力会社と契約を結んでいる顧客である・・忘れてましたが。

「値上げ拒否可能」周知せず 東電に改善を指示
東京電力が四月以降に実施する企業向けの電気料金値上げについて、契約更改時まで料金を据え置きできることを顧客に説明していなかった問題で、枝野幸男経済産業相は二十一日の閣議後の記者会見で対象となる顧客への説明を徹底するよう東電に指示したことを明らかにした。
枝野経産相は「開いた口がふさがらない」と東電の対応を批判。東電が、個別に料金の据え置きを申し出た顧客にだけ対応していた点を挙げ、「故意かどうか知らないが、明らかにおかしい。経営体質が全く変わっていない」と指摘した。(3月21日東京新聞

私の知人で以前に「電力料金適正化のコンサルティング」をしていた人がいるのですが、彼から色々話を聞くにつけ、東京電力の「殿様体質」については驚くことばかりでした。なので、このニュースにもさほど驚きはありません。
枝野さんのお怒りはちょっとポーズくさいなあ・・・


基本的に東電は利用者に対して「電気料金割引」を案内したりはしない。細かい規定が変更になって、ある時期から割引が適用されるようになったりしても、教えてくれない。これが実態と思います。
不親切だと文句を言えば、いいえ全契約者にご案内しております、と答えるのでしょうが、実際問題として利用者のほとんどがそうしたことに気づいていないのが現実でしょう。そこで「電気料金コンサルタント」という商売が成立するわけなのです。


東電の利用明細(電気ご使用量のお知らせ)を見ると色々なことが記されていますが、これを理解している人がどれほどいるでしょうか。
例えば「太陽光促進付加金」という項目がありますが、ご存知ですか?
一般住宅で太陽光発電設備(ソーラーパネルなど)を設置した場合に、余剰電力を東電が買い取る制度があります。
この余剰電力買い取りによって各家庭の設備費負担が軽減される(5年〜10年で元が取れる)わけですが、この費用をソーラーパネルなど持っていない家庭を含めて全ての家庭の料金に上乗せされていること、これを知っているひとがどれほどいるでしょうか。


電力の契約には「契約約款」がありますが、これを読んだことのある人がどれほどいるでしょうか。電気料金のコンサルタントとか、厳しいリストラを遂行中の企業の担当者などを除いてはほとんど皆無でしょう。
そもそも、「我が家は東電と契約を結んでいる」という自覚自体がほとんどないのではないかと思います。もちろん、私を含めてです。


日本人は契約という概念に疎い、ものごとは契約によって成り立っているというよりもどちらかというと「信頼関係で成り立っている」というのが我々日本人の一般的な感性だと思います。
そのこと自体はある意味で日本の文化であって、必ずしも近代化が遅れているとも言いきれないような気がします。しかし、なにごとも限度があるという話のように思います。
「日本人の《契約意識》の希薄さは度を越している」と私はつくづく思うようになっています。


契約内容を理解しようとする合理的な心構えがあまりにも希薄であるがために、知らずにすませることが多すぎます。
電力会社の地域独占、発電送電売電の独占、総括原価方式によって過度に守られた高コスト体質、結局は「大殿様」商売とその周辺の巨大利権を育み、そして、このたびの原発事故の大惨事とその後のとんでもない対応が被害を拡大し続けている事態に結びついています。我々にも大きな大きな責任のあることを自覚すべきでしょう。