独立FPの独白ブログ

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市民の権利と義務

『111歳』死亡 81歳長女と53歳孫逮捕
 東京都内で男性最高齢の111歳とされた足立区千住五の加藤宗現さんのミイラ化した遺体が自宅で見つかった事件で、警視庁捜査二課と千住署は27日、加藤さんの妻の遺族年金915万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、長女の真子(みちこ)(81)、孫の登貴美(53)の両容疑者を逮捕した。高齢者の所在不明問題が全国に広がるきっかけとなった事件は家族の刑事責任が追及される事態に発展した。(28日:東京新聞)

この事件をきっかけに、「生きていれば○○○歳」というご長寿なのかゾンビなのか(即身仏などと言ってはいけません。罰があたります!)あり得ない戸籍上の超高齢者情報が毎日全国から寄せられています。歴史上の人物と同い年だとか、いないのに高齢ぶりを競い合っている感じのまことに奇妙な状況が続いています。


足立区の事件は容疑の内容が真実であるなら立派な犯罪ですが、その後次々と発覚し続けている戸籍上の超高齢者問題はまた別のはなしですね。
人が死亡したのに戸籍の変更手続きがなされていないケースが実はたくさんあるしい。これらに関して「お役所仕事だね」と実態を把握できていない行政の怠慢を責める人が多いようですが、私は少し違うなと思っています。


お役所への届け出や請求など様々な手続きは基本的に「申請主義」的であって、役所は市民が申しできたことには法律や条例に基づいて対応いたしましょう。ということです。
何かご不安はありませんか、あれはどうしましたか、これはどうしますか、最近どうですか、何か届け出ることはありませんか、みなさんお元気ですか・・・と、のべつ幕なしに役所からのご案内がなされるような日常を望む人っているのでしょうか? 


私は感覚的にまっぴらごめんですけど皆さんはどうですか?用があるときはこっちから出向いてゆくから、その時には迅速に適確にやることをやってくださいね、というのが多くの一般庶民の期待感ではないのでしょうか?


市民には年金とか医療給付など行政サービスを受ける権利がありますが、同時に届け出や通知などの果たすべき義務もあります。社会生活を送る上での権利や義務をきちんと把握して、それらを行使、履行する「民」と、彼らの権利を尊重してできる限り適切な行政サービスを提供しようとする「官」が協力体制を築いているべきだし、そのほうが気持よく日常を送れるはずです。


公的年金に絡んでの厚労省の不手際やいい加減ぶりは当然責められるべきことですが、年金保険料を平気で滞納する4割の国民も当然批判されるべきもののはずです。
ううむ、やはりこれも偏向した正義の使者・マスコミの問題につながるのでしょうか。


また一昔前であれば、こういうことは役所がいちいち把握なんてしなくても、ご近所付き合いの中で「誰々さんが病気らしい」とか「最近あいつの顔を見ないねえ」と気付いたのではないかと思います。隣人が死亡したのに知らないままで数年経過するなどは普通の街ではあり得なかったのではないでしょうか。


ご近所付き合いの煩わしさが嫌われ、表層的な個人主義みたいなものが蔓延し、隣組、町内会などが死滅の危機に瀕している現代ニッポンでの、行政と家計を結ぶもう一つの構成要素であった庶民の共同体の崩壊を実感する事件でもあります。