独立FPの独白ブログ

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自分で考えるための読書(6)〜覚悟を決める時が来た!

人間の覚悟 (新潮新書)

人間の覚悟 (新潮新書)


《そろそろ覚悟をきめなければならない。最近、しきりにそんな切迫した思いがつよまってきた。》
《国家は国民のために存在してほしい。だが、国家は国家のために存在しているのである。》


こんな序章で始まる五木寛之氏の最新刊は「人間の覚悟」という一見分かり易そうなタイトルのしかし深遠な内容の人生哲学書です。


ひと月ほど前にラジオ出演した五木氏の「日本という国を愛しているが、国家は決して信用しない」ということを滔々と確信を持った口調で話しておられた印象が強く残って、気になっていた「人間の覚悟」を大掃除の前の朝にあっという間に読みました。


「地獄の門が今開く」で始まる第一章の冒頭にやや不安を覚えつつ読み進めれば、日本は敗戦後50年間の『躁状態』を終え10数年の停滞期を経て、ついに長い『ウツ状態』の時代に入ったのだという指摘で少々背筋に寒気を感じました。
あまり悲観的な表現には触れたくないなあなどと思いながらも、読みやすく説得力のある文章に惹きつけられ、短時間で読了した私でした。
さらりと語る感じですが非常に多くの事柄に触れていて、そのそれぞれについての意見に私はいちいち納得した次第です。


思うところあって来年は心機一転明るい年にしようと誓っていた私にとって、「あきらめなさい」という力強い助言と「日々をありがたく思う」とう正しい生き方の勧めに大いに勇気付けられました。年末に思わぬ褒美をもらったという印象で、これはきっと何かの縁であるに違いないと、思わず合掌したくなるのした。
暗いニュースの洪水に辟易している多くの日本人にある種の勇気を与えてくれる良書だと思います。
五木さんに感謝。