独立FPの独白ブログ

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■人生を語る吉田拓郎

かぐや姫のステージは「ほのぼの」「しっとり」「ゆかいな」そしてなんと言っても「なつかしい」あの雰囲気を十二分にエンジョイさせてくれて大変よろしかったです。大サービスに感謝してます。


しかし、やはり、拓郎さんの迫力はけた違いでもの凄いものがありました。
拓郎自身の圧倒的なボーカルの迫力のみならず、バックミュージシャン達の技術と乗りも感動ものです。
圧巻はバックの演奏がほとんどキーボードとストリングスだけで、拓郎のボーカルが前面に出た「言葉」でした。


5文字の「言葉」に込める深い思いと感動をジックリと謳いあげるあの感覚はやはり積み上げられた年齢のなせる業でしょう。ローリング30で発表されたときにも深い感動を与える曲だと思いましたが、60歳の(ローリング60ですねえ)今、あの深みを増した太い声で腹から搾り出すように唄う「言葉」には涙が溢れました。拓郎はすごい。


30年以上前からそして20歳代前半から唄っていた歌を、年齢を超え、時代を超えて、今でもほとんど違和感なく聴かせる拓郎は本当に素晴らしいシンガーです。
若さゆえとんがって、世間に対して疑問や不満や憤りを感じつつも、しかし何もできない自分にいらだっていた純な青年の心情をストレートに表現してくれていた拓郎。理屈ぬきで心を奪われていたのだと今になって思います。


あの頃の純な心、ひたむきで不器用な正義感、そして身を焦がす恋心などに、いつも揺れ動き漂うばかりの根無し人間だった青春時代の切なさが拓郎の唄によってよみがえり、みんな涙するのでしょう。
そして拓郎はその純な心のままに大人になってきたように見えるのです。そこがなんとも魅力的なのです。それがあのひとの凄さなのです。


拓郎さんはあのころもこれからも人生のお手本だという(重松氏の)コメントに対して、拓郎は自分の思うようにわがままに生きてきているだけで、決してお手本にはならないと謙遜します。
しかし、自分に正直に生きているというそのことにこそ、多くのファンが憧れ、手本だとして拓郎を見るのでしょう。


オープニングの「旧友再会・フォーエバー・ヤング」のあとの第2曲目はこれまで長い間封印されていたらしい「ペニーレーンでバーボン」でした。学生時代に用も無いのに原宿に行って、お金が無いからペニーレーンの店の前で中を覗いてみただけの私ですが、「ペニーレーン」と聞けばビートルズよりも拓郎を思い出すという具合です。
この曲の歌詞のなかに「つんぼ桟敷」という慣用句が含まれていて、その言葉が差別用語にあたるということである時期以降CDの販売がされておらず、唄われることもなかったようです。こんなことになっているとは知りませんでした。


特定の障害者を指し示しているのではなく、昔から使われていた慣用句として使われている言葉が「差別用語」なのだということで、あの大切な大切な「人生を語らず」というアルバムCDが売られていないなんて、なんとも日本は悲しい国であると私は感じます。そうやって言葉を封殺することが本当に差別廃絶に向かって意義のあることなのでしょうか。
その議論はあまりに難しいのでスキップしますが、拓郎はこの唄をつま恋の第2曲目にもってきたのです。
多くの人がそうであったようにドキドキして聞いていると、その該当部分の歌詞を「蚊帳の外」という慣用句にサラリと置き換えて拓郎は唄っていました。こんな場面でも、歳を重ねてどっしりと落ち着いた拓郎さんの大きさを感じてしまいました。


そしてアンコール前のラスト曲は「今日までそして明日から」でした。
20歳そこそこで作ったこの曲を淡々としかし間違いなく何かの確信をもって唄う60歳の拓郎。
本当にカッコイイのです。


私は今日まで生きてみました
そして今、私は思っています
明日からもこうして生きてゆくだろうと


繰り返されるこの歌詞で淡々としかし力を込めてメッセージを送ってくれた拓郎さんに心からの祝福を!!


とりあえず、本の紹介から・・・・発売は12月だって。

公式記録BOX 吉田拓郎&かぐや姫Concert in つま恋2006

公式記録BOX 吉田拓郎&かぐや姫Concert in つま恋2006