独立FPの独白ブログ

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■統計リテラシーは必須だ!


失業率上昇についての政府説明の報道は、統計数値はそのデータの見せ方や読み方次第で様々に意味が変わるというひとつの好事例です。

景気回復を受けて、仕事を求めたり、より良い条件の仕事を求める女性が増えたことで完全失業率が上昇した−。総務省が28日発表した6月の労働力調査で、こんな実態が浮上した。
完全失業率(季節調整値)は前月から0.2ポイント悪化の4.2%。女性が0.4ポイント悪化し、全体の失業率を押し上げた。総務省厚生労働省は、雇用失業情勢の改善基調が続くなかでの失業率の悪化を「女性の労働市場への参入が進んだことが要因」と分析している。

本当だろうか? 女性の労働市場への進出なんて、何十年も前に使われたフレーズではないのか?

 厚生労働省が同日発表した6月の新規求職申込件数をみても女性全体では前年同月比1.1%減っているにもかかわらず、働かず家事をしていた女性に限れば8.1%増加。このため、総務省や厚労省は、雇用環境の改善を受け、就職活動を始める女性や、より良い仕事を求める女性が増えたとみている。

ふーん、そうなの?
『幼い子供の育児などの事情によって当面働かずに家事に専念していた主婦が、育児時間を犠牲にしてでも職を探さざるを得なくなったという家計収入上の切迫した環境が原因』ではないという証拠は無いでしょう。

ただ、0.4ポイント悪化という数字と現場の感覚には乖離(かいり)がある。おもに女性の人材派遣をてがける人材派遣大手のパソナ(東京都千代田区)は、「景気回復を受け、派遣の稼働者数も右肩上がり。6月に大幅悪化する理由は見あたらない」(根本恵介・広報グループ長)と指摘しており、景気回復下の特殊要因が失業率を押し上げたことを裏付けている。

ということで、この失業率悪化は景気回復のプロセスなのだという政府の見解を人材派遣会社が援護射撃しています。

他の新聞ではこのニュースの記事を次の一文で結んでいます。

有効求人倍率も好調で、92年7月以来の水準となった。ただ、正社員を希望する人に対する求人数の割合を示す正社員倍率は0.58倍と、引き続き低い水準にとどまっている。

脱サラ転職をして独立してしまった私としては、正社員が全てなどとは決して思いませんが、しかしながら、ひとつの会社でコツコツと落ち着いて仕事を身につけ、成長して行きたいという指向はあって当然と思います。
労働者を雇用する側はその使い勝手のよさ、コスト管理面からの要請で派遣などの「軽い雇用」を選択しているに過ぎないと思います。結局は世の中はそういうことなのだ。



失業率悪化の要因は分母が増えたことであり、【景気回復を受けて】就職を諦めていた人達がまた労働市場に戻ってきた。
・・・と言うのなら、政府が景気回復の証拠としていた失業率の上昇は、その要因が分母が減っていたことなのであり、あまりの労働環境の悪さからハローワークに行ってもしょうがないと諦めていたから、なのではないのか?


つまり、なんとでも言えるという話しなのです。統計リテラシーを持ちましょう。