独立FPの独白ブログ

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親の介護体験記(4:高齢者はとにかく転ぶ)

今年亡くなった母が昨年4月に入院した原因は「重度の腰痛」でした。
以前から年に数回腰痛を訴えることがあっても一日、二日安静にしていれば治ったと言う程度のものでした。いつも異様に混雑していて普通に2時間以上も待たされる整形外科医院に行くことは相当ハードルが高く、ほとんどの場合は行かずに過ごしていました。
しかし昨年春の母は腰痛でほとんど起きていられなくなり、さすがにこの時は整形外科を受診することにしました。診断の結果は腰椎の数か所に圧迫骨折がみられる、肩関節には変形がある、脊柱管狭窄症の傾向も見られるとのことで1週間の入院となりました。
その時の骨折の直接の原因は転倒だったのかも知れませんが、しばらくすると転倒したこと自体を忘れてしまうので、本当の原因はなかなか分からないのです。

圧迫骨折の治療は痛み止めの服用以外は寝ているしかなく、長期入院は無理とのことで「転倒リスク対策」を徹底したうえでの自宅療養をということになったのでした。主治医から強く言われたのは、この年齢でしかも数か所の腰椎骨折もある人が、日常的に階段の昇り降りをするなどトンデモないということでした。そこで、寝室を二階から一階に移し、一階のみで生活出来るように家屋内環境を変える突貫作業が始まりました。ニトリやホームセンターやオリンピックなど駆けずり回って、もともと麻雀部屋でしかなかった狭い和室をなんとか夫婦の寝室に切り替える作業を終わり、母は退院となりました。

長年の習慣をがらりと変えさせられて、父母はかなり混乱し、いら立ちを見せることもありましたが、1階で暮らすのは「医師の指示」によるということ、骨折は治っていないので慎重にするべきだということなどを繰り返し説明したり張り紙をしたりして数カ月過ごしたのでした。この頃から我が家と車で1時間の実家との往復が、月1、2回から3回になり4回になり、ほぼ毎週ということになったのでした。

いつ転倒するかも知れないというのは高齢者に共通のリスクであり、転倒の結果骨折し長期入院し、筋力体力が衰え、更に転倒のリスクが高まる悪循環は様々な方面で指摘されていることです。「お年寄りは転んだら大変、絶対に転ばないようにしましょう」とよく耳にしまうが、どんなに注意をしていても、色々な対策を打っていてもやはり高齢者は転ぶのです。母はその秋ごろにも玄関先で転倒して顔から出血して救急搬送、目の上を6針縫うことになったのでした。

昨年末のある日、家内の母が雪の積もる札幌市内の道路で転倒して救急搬送されました。脳を打ったため、その後のリハビリも長引いてしいました。義母はあれだけ気を付けていたのにと思ったものの、これはやはり致し方のないことなのです。楽しく日々を送るためにも、体力、筋力低下を防ぐためにも、積極的に出かけて仲間と交流することは大事なこと。そして可能な限り自分の足で歩いて生活することは大事なことです。転倒のリスクを回避するため、じっと家の中に籠っていては、それこそ体力の衰えにつながるし、脳の不活性から認知症がの進行するかも知れません。転ばないように体力を維持しておく、言葉通り「転ばぬ先の杖」を活用する、転んでも大けがにならぬように日頃から反射神経を鍛えること、出来ることからやっておくことを老親には勧めましょう。それは現役世代の私たち自身の老後への備えにもつながるでしょう。