独立FPの独白ブログ

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健康について考える~3

健康ブームというのはいつ頃から始まったのか、そして一体いつまで流行るのだろうか? 本屋さんに行けば必ず「健康・医療関連」コーナーがあり、そこには驚くほどたくさんの書籍がぎっしりと置かれていて、いつも感心するばかりです。かく言う私自身も、結構まめにそういうところを確認しているわけなのですが・・・


健康関連本を分類すれば、整体とか歪み矯正など健康法、身体に良い、免疫を高めるなどの健康食品やサプリメント、ダイエットの様々なノウハウ、筋トレや体操などのトレーニング系、若さを保つ心構えの指南などなど、さらには様々な病気についての個別的な知識やアドバイスの本など、本当に多岐にわたり至れり尽くせりの健康情報の世界が広がっています。


これだけ情報量が豊富になってくると、中には怪しいものも相当数含まれてくるのは避けられないことで、私たちにとって大切なことはむしろ「どの情報を取り入れるべきか」を判断する能力であると思われます。
なんとも面倒な話ですが、健康情報リテラシイを身につけることこそが健康づくりの第一歩とも言えそうです。

「健康」という病 (集英社新書)

「健康」という病 (集英社新書)


そんな健康ブームのさなか、へそ曲がりの私にとって最近目につく健康情報は「健康情報を疑いましょう」というコンセプトの健康本です。「健康について考える~2」ではメタボリックシンドローム施策には大いに疑問があることを提唱した本を紹介しましたが、今日紹介するのは医療、健康情報全般について長年にわたって警鐘を鳴らし続けている精神科医、米山公啓さんです。


「健康という病」この分かりやすい逆説的書名にひかれて、数ヶ月前に古本屋さんで105円でゲット。この本の目次を並べるだけで「目からうろこ」の期待が増すようです。

  • 半健康ではいけないか
  • 危険因子はほんとうに危ないか
  • ダイエットにおける幻想
  • スポーツはからだにいいか
  • 人間ドックはやくにたっているか
  • 薬はきいているか
  • ストレスはからだに悪いか
  • 健康という欲望

そして最終章とあとがきで次のようなことが述べられています。

完全な健康は存在しないし、病気の予測も健康の保証もできない。健康診断や人間ドックではそれが求められるのだが、病気にならない人間はいない。そこから健康論は出発すべきだ。・・・絶対的健康を求める限り、医療のどこかに商業主義が入り込む。健康という現代の病気は多くの人に入り込んでいる。もう一度私たちは、人間は不健康であるということが普通であるという、その自覚の上でからだを見つめて行かねばならない。
・・・戦後から現代まで日本では長生きすればいいという医療が行われてきた。しかし、世界一の長寿社会になってはみたが、みな健康でいるわけではない。そこにかけているものは、自分の生きる目的であり、その実現への努力である。

「健康という病」の初版発行は2000年で少々時間がたっていますが、やはり物事の本質をとらえた「そもそも論」的な書物は多少古くなっても色あせないという好例かも知れません。健康産業への傾倒を煽る導入本ではもちろんなく、しかしそれらを強烈に全否定するような感情的批判本でもなく、冷静にデータや実例をあげて「自分の健康を自分で考え直そう」と語りかけてくれる啓蒙の書としてお奨めです。