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デフレ脱却こそ最優先課題!

デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)

デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)

デフレとは物の値段が長期間継続して下がり続けること。
物価下落期待が世の中全体を覆っている状態で消費者の行動はどうなるか。
何かを買おうかなと思った人も、明日になればもっと安くなるだろうと考て今日の買い物は控えます。企業はやむなく値段を下げるから儲けが減る。当然に社員の給料は上がらない。お金が増えないから家計はますます消費を控える。デフレ・スパイラルですね。


さて、モノの値段は市場における需給と供給のバランスで決まると昔どこかで習いましたが、物々交換ではなくお金という媒体を使っている現代の経済ではお金とモノの量的関係、そのバランスが非常に重要となります。モノの量に比べてお金の量が不足すると人々はモノよりもお金ばかり欲しがってなかなかモノを欲しがらない、これがデフレの大きな要因です。


お金の量が増えれば人々はモノを欲しがるようになり、買い物が増える。物価が上がり始めれば、来週になると値段が上がるかもしれないと考える消費者が今日モノを買う。企業の売り上げが増進し、設備投資が増え、給料がアップして消費を後押しする、この循環に転換する。


日本の長期経済低迷の原因はデフレにあり、それを解消するにはお金の量を増やすしかない。この本の主張です。
物価上昇が続けばインフレとなり、その先には「ハイパーインフレという悪夢が待っている」という声が聞こえてきそうだが、そんなことはない! 年間2%程度の緩やかなインフレが継続することで日本経済は必ず持ち直して安定するのだ。


・・・ということが大変わかりやすく書かれていて、経済学に苦手意識をもつ私のような普通の庶民でも納得しつつ理解できます。経済政策、金融政策というものが我々庶民の理解を超えたハイパーインテリジェンスな領域であるかのような錯覚から解き放たれ、政府や日銀の政策を我々が監視して、コントロールする、これも非常に重要な民主国家のありかたのひとつではないでしょうか。


金融経済の理論書やマクロ経済学の専門書を敬遠している皆様に(つまりほとんどの一般庶民の皆さんに)ぜひ、この極めて易しく書かれた経済政策解説本をお勧めします。


それにしても日本で長期デフレが何年も放置されたまま、国際的にも非常に稀な状況であるのはいったい何故なのでしょうか。デフレ状況でも給料があまり下がらず、物価下落の恩恵を受けやすいのは大企業や公務員の人たちくらいだろうに。
円の元締めとしての日本銀行は円の価値を高めに保ちたがる傾向がある(森永卓郎氏言)からなのか。


当の日本銀行は長期デフレ、長期経済低迷に関して一体何を考えているのか?
この疑問から、岩田規久男著「日本銀行は信用できるか」を読むことになったのですが、それは後日書きます。


日本銀行は3月17日、金融政策決定会合を開き、デフレ克服に向けた追加的な金融緩和策として、昨年12月に導入した新型オペ(公開市場操作)の資金供給規模を現在の10兆円から20兆円に上積みすることを決めた。』

『鳩山首相と日本銀行白川方明総裁は4月9日首相官邸で会談し、景気情勢や金融政策について意見交換した。菅財務相らも同席し、デフレ克服に向けた政府と日銀の協調を確認したとみられる。』

この2つのニュースが日本経済の復旧に向けて良いことなのかどうか? 見極めたいと思うのです。