独立FPの独白ブログ

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■高級ブランドの浅薄さ

仕入れ伝票に九州産明記 会社ぐるみの疑い強まる
 高級料亭吉兆グループの船場吉兆(大阪市)の偽装表示事件で、兵庫県の「但馬牛」などと偽って販売された牛肉の仕入れ伝票には、九州産と明記されていたことが17日、大阪府警生活環境課の調べで分かった。
 同社は原材料に九州産を使ったことについて「仕入れ担当者1人の判断だった」と説明しているが、伝票が担当者だけで管理されていたとは考えにくく、生活環境課は会社ぐるみの偽装との見方をさらに強めている。 調べなどによると、偽装商品に使われた牛肉は、福岡県久留米市の食肉販売会社が納入。 農水省が10月末、船場吉兆に立ち入り調査した際、食肉販売会社からの仕入れ伝票が見つかり、佐賀県産や鹿児島県産であることが明記されていた。 船場吉兆はこの牛肉を原材料とする商品に、ブランド牛として知られる「但馬牛」「三田牛」などのシールを張って販売したとされる。(17日・中日新聞) 


この会社が行っていた表示偽装については「不正競争防止法」という法律に関して虚偽表示という違反行為なのだという話です。
警察は確実に立件できる目算のある法律違反を適用するのが当たり前なのでしょうが、我々庶民の感覚でこの偽装事件を見れば、明らかに「詐欺」であると思うのですがどうでしょう。


罪が重い軽いは別にしても、この不正な行為の本質が「少々古くなった商品をついつい適当な表示でごまかしてしまいました」とか、「違う名前で出しちゃいました」などというカワイイ部類の不正行為と捉えてしまっても良いのでしょうか?
そもそも「長年の信用」という付加価値で高い金をとって商売していた老舗ブランドが、そのブランド維持の根拠であるはずの高品質とか希少価値に関してデタラメをしていたのですから、どう考えても詐欺でしょう。


私は吉兆なるものの存在も知らず、老舗高級料亭だかなんだかの味を見極める舌も持たず、それを味わう財力もありませんので、そもそもブランドとは無縁の庶民でしかありません。もしも万が一、有り余るお金を持っていたとしても、はたして所謂ブランド商品にお金を賭ける気にはなるかどうかははなはだ疑問です。私は所謂ブランドが好きではありません。ユニクロのように「安くてまあまあ」という大変珍しい存在のブランドは好きでが・・・。


外資系生保にいた当時のMDRTのアメリカ研修旅行で、行く先々で有名ブランドのバッグやらアクセサリーやら何やらを買い捲る人達を横目で見ては「なんでこうなるの?」と不思議に思い続けていたものです。そんなことより、アメリカでしか味わえないアイスクリームの旨さとか、野球場の雰囲気とか、本場ジャズのライブハウスの空気とかのほうがよほど重要であって、ブランド品の買い物などというものはどう考えてもお金がもったいないとしか私には思えませんでした。(そんなことは言えなかったけれど)


誤解を恐れずにあえて言うならば、ブランド志向というのはある意味では「思考停止状態」で商売人の前に身をさらすことであると私は思います。その意味でブランド信仰は大変危険な感覚だと思うのです。
もともとブランドの信用力というものは、様々な情報収集をしたり試行錯誤をして良い商品を捜し求める労力を最小限に抑えることが出来るメリットとも言えるでしょう。
商品の本当の良さを確認することなくとりあえずブランドを信用して購入するというのは、自分の目と耳と感覚でよくよく判断してから買うという面倒な作業を省略してしまう行為なのですから・・・。


大手企業や老舗の相次ぐ偽装、インチキ、ごまかしの事件の背景には、自分の五感、経験を総動員して自分で選ぶ努力を怠ってしまっている消費者の責任も大いに関わっていると思うのです。


・・・それにしても、自分で指示をしておきながら、現場が勝手にやったことと言い放つ経営者のおっさんのあの表情、実に情けないものでありますね。看板なしでお客さんの信用をこつこつ積み上げてゆく本当の商売を、一度ゼロからやってみなよ!!