独立FPの独白ブログ

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■お金はマボロシかも知れない


L&Gによる擬似通貨・円天の騒動もそろそろ詐欺事件としての立件が近くなってきたようです。
私がこの騒動を知ったのはたしか半年ほど前のニュースバラエティ番組の特集でしたが、見た途端に「マルチ商法」と分かりました。


ネズミ講マルチ商法、無限連鎖販売、呼び名は色々ですが、要は会費を払って会員になったものが新会員を連れてくる、その新会員がさらに新会員を連れてくる、子→孫→ひ孫→・・・・と無限に会員を増やし続けることで資金がどんどん膨らんでゆく、というタイプのおなじみの不当商法です。


「おなじみの」不当商法なのに、やる側は手を変え品を変えて少しづつ異なった彩をそえるので、いつまで経っても騙される人が絶えません。また、マルチ商法に手を染めた詐欺師たちはまさに依存症状態となってしまい、この世界から離れることができず、何度も同様の犯罪を繰り返す傾向が強いようです。

使っても減らない嘘のような電子マネー『円天(えんてん)』を活用することで商品が正当な価格で販売でき、販路も広がる――こんな新しい商売ができるのが円天加盟店です。


↑ これは、今日現在も立派に存続しているL&G公式HP内の会員募集ページにある一文です。
【使っても減らない嘘のような電子マネー
このフレーズを読んで、「そんなアホな!!」ととりあえず思うのが通常の感覚だと思うのですが、この誘いに何億円もの「使えば減る本物のお金」が投入されてしまったのです。一体どういうことなのでしょう? 本当に不思議です。


この会社の社長は「遣っても減らないマネー」という一種の独自通貨を勝手に作ったわけですが、考えてみればそもそも通貨というものはある意味で非常に脆弱な存在でもあるのです。


円やドルなどの通貨が価値を維持しているのは、社会のすべての人が共通の認識の下でその価値を認めているからです。
南米やアフリカの未開の奥地で文明社会と隔絶した閉鎖社会(どこにあるのか知れませんが・・)では、100万円の札束も何の力も持たないでしょう。
日本国内であっても、仮に「日本の通貨など今や価値は認められない」と思い込んでいる人がいるとすれば、その人に幾ら大金を積んでも何も売ってくれないでしょう。1万円が1万円の価値として通用するのは、その価値について認め合っている仲間内に過ぎないのです。


更に、通貨の価値は、数年先、あるいは数十年先の将来にわたっても通用するはずだという予想のもとに成り立っているものでもあります。近い将来値上がりすると予想する場合には、ただのチューリップの球根に数万円を投じることもあり得るのです。(有名なオランダのチューリップ・バブル
経済の歴史をちょっとだけ振り返ってみても、お金の価値が一瞬にして紙くず同然に下落してしまった多くの事例を知ることになります。


「夢のようなお金」を演出したこのちょっとひねったマルチ商法の事件は、お金とか財産というものの価値について時には冷静に考えてみる必要性を我々に突きつけてくれたように感じます。
お金はあくまでも「道具」なのです。