独立FPの独白ブログ

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■硫黄島からの手紙


前編の『 父親達の星条旗 』のエンドロールを見つめながら絶対観ようと決めていた『 硫黄島からの手紙 』をようやく観てきました。


冒頭、現在の硫黄島に建てられている戦没者慰霊碑に岸信介の名が刻まれているシーンにドキリとさせられて、どんどん引き込まれてしまいました。前編と同様に、語られているメインテーマは「戦争は人間を傷つけるものでしかない」というそのひとことでしょう。(と私は思います)


「星条旗」ではアメリカ兵士からみた日本兵は、塹壕に隠れていて姿が見えず、何かに取り付かれたように捨て身で向かってくる訳の分からない不気味な存在として描かれていました。ところが「手紙」の方ではその日本兵は、アメリカが桁違いの兵力で上陸してきたらとても敵わないだろうと恐怖におののいているのが実態でした。


「星条旗」では日本兵の顔はほとんど現われず、「手紙」では米兵の顔がほとんど見えません。得たいの知れぬ化物のように敵を恐怖する感覚をどちらの映画でも描いています。また、激しい殺し合いの最中に、ほんの一瞬ですが実はお互い同じ人間同士なんだと感じる瞬間が、どちらの映画でも描かれています。


敵対する人間達を俯瞰して見るのではなく、また、一方を正義、一方を悪とするのでもなく、双方からの視点で二通り描くことで、戦争という行為の意味をより深く描き出すことに成功しているのではないかと私は思いました。
ところで「手紙」では投降してきた日本兵を二人の米兵が捕虜として扱わずに殺してしまうシーンがありましたが、よくここまでと感心してしまいます。イーストウッド監督のこの映画にかける情熱と、勇気を感じました。この勇気は、この映画の製作者であるスピルバーグが一昨年制作した「ミュンヘン」でイスラエルを批判的に扱ったことにも感じた勇気です。


「人間にとっての本当の敵とは、対戦相手なのではなく、国民を戦争に送り出している者たちである」
「少しでも戦争を減らすために、私にできることは何だろう」


これが2本の映画を観終わった私の思いです。
硫黄島からの手紙』を見た人もこれから見る人も、是非『父親達の星条旗』も見て欲しいと思います。
戦争を知らない全ての人にお薦めしたいです。


映画の公式HP⇒ 父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙