独立FPの独白ブログ

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■右肩さがりを受け入れる

50年後は5人に2人が65歳以上――。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が20日に発表した将来推計人口は、「超高齢社会」の姿を改めて描き出した。50年後の人口ピラミッドは足元がえぐれた形になり、少子高齢化が加速していく実態を印象づけた。社会保障や経済成長の重しになるのは確実で、制度の見直しや少子化対策の強化は避けられない。
2005年と55年を比べると、65歳以上の人口は2576万人から3646万人へと4割増加。人口に占める割合も20%から41%に高まる。
一方、15―64歳の生産年齢人口は8442万人から4595万人と46%も減る。現在は高齢者1人を現役世代3.3人が支えているが、50年後は1.3人で1人を支えなければならない計算だ。
こうした人口構成のゆがみは、現役世代の保険料を高齢者への給付に充てる年金制度に打撃を与える。厚労省の04年の試算に新推計の出生率を当てはめると、約20年後に年金を受け取り始める世代の額は、現役世代の収入に対して48%前後となる見通し。(07:01)


そもそも統計データというものは使い方次第でどうにでもなる場合があります。
国の方針が予め決められていて、その妥当性を裏付けるための資料として発表されることがままあることは、常に専門家も指摘しているとおりです。
しかし、そうした事情はさておいても、日本の人口構成のゆがみの傾向自体はあきらかなことであり、年金制度の危機的状況は当面回避されないでしょう。


そうであれば我々庶民は、自らの生活と子供たちの未来を守るために、できることはしておかなければならないでしょう。個々のライフプランを考える際には、この問題への取り組みを盛り込んでおく必要があります。
ところが現実には、個人家計をバックアップする保険の分野も、資産形成を受け持つ金融商品の分野も、いづれにおいても長期的計画に基づいた商品作りやプランの提供が、あまり重視されていないように私には思えます。


保険を売る人達はその新規契約から得られる報酬が主たる収入であるために、新規契約獲得がメインの目的となり顧客の将来の安定確保は二の次になっているように見えます。長期保障商品や将来への積立効果の高い商品の販売報酬は、一般的に短期の保障商品より報酬の率が低い場合が多く、そのことがこうした傾向の背景にあると思われます。


投資信託や年金商品などの投資・運用商品を売る人達も、基本的には契約時の販売手数料を稼ぐために売っているわけです。販売した運用商品が顧客の長期的資産形成に貢献するかどうかにはあまり関心がないように思います。顧客にはできるだけ短期間のうちに「また買って欲しい」のであって、追加する余裕がないという顧客には「買い替えて欲しい」というのがホンネでしょう。そのため、投資信託などの運用商品の分野でも、消費者は回転売買的な販売戦略にさらされることになります。


売る側の事情が大きく変わらない限り、保険も金融も短期商品に偏り勝ちな傾向は止まらないでしょう。
そして、少子高齢化の進行も当面は続くでしょう。我々庶民は、自分と子供たちの将来を守るための対策を、自分で考え、自分で探し、自分で選ぶしかありません。右肩あがりの成長が当たり前という妄想から抜け出して、量より質の価値観を取り戻し、自分の将来を自分で開いてゆく意気込みでライフプランを考えましょう。