- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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2年ほど前に貫井徳郎の「慟哭」を読んで以来、この作家が気にはなりつつも、あの少々硬めで、暗めの文章の雰囲気の中に入ってゆくにはそれなりの覚悟が必要な感じがして、若干のカベを感じていたため暫く遠ざかっていました。
先日久し振り読んだのが「症候群3部作」の第1話である「失踪症候群」でした。
裏表紙の謳い文句にあった「ページを捲る手が止まらない」を信じて買ってしまったのですが、慟哭を読み終えた時の驚愕とずっしりした読後感とはまた違ってまずまず満足でした。
最近何度か、面白いと思った作家の2冊目に買った本に裏切られているので、同じ作家の作品に飛びつくことに慎重でしたが、この人の本はさほど悩むことなく読んでもよさそうな気がしてきました。
現代の「必殺仕置き人」的なシチュエーションのこの三部作はおそらく全部読むことになるでしょう。
ところが、症候群シリーズ第2作を買ってきたものの、次ぎに読んだのは貫井さんの別の作品「プリズム」でした。
ミステリには「フーダニット(誰がやったか)」が主題であるものや「ホワイダニット(なぜやったのか)」などがありますが、この「プリズム」はそのどれでもない、というのか、ネタばれはできないので、ちょっと説明不能です。
なあるほど・・・でもなく、えええっ・・・でもなく、ビックリ仰天・・・でもない、不思議な読後感をもたらしてくれる、本格推理小説の異色作でありました。
本文を読む前にあとがきと解説は読まないほうが良いと思いました。