独立FPの独白ブログ

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■退職・転職プランニング

今日のご相談は昨年ある企業を早期退職された方のライフプラン相談でした。
ご本人としてはつい最近非常に大きな決断を下して長年勤めた企業を離れたばかりであり、今後の人生再スタートにあたっては期待感と共に大いなる不安も同時に感じられているでしょう。
いきなりこんなに「重い相談」で済みませんなどと仰っていましたが、しかし私には「重い」という感覚はあまりありませんでした。


17年前に脱サラ転職をして、更にその10年後に本当に自営業者になってしまって今に至る私としては、転職、退職のご相談はさほど「重い相談」とは感じないのです。
転職や、早期退職が重いことではないというのではありません。 もちろん重大な決断であり勇気有る行動です。しかし、退職や転職は普通の勤労者にとってもすでに珍しい出来事ではなくなってきているのではないでしょうか。
その時期がいつになるかは人それぞれではあっても、人生において必ず遭遇すること、誰もが経験することではないかと思うのです。


高校や大学を卒業して就職した企業に、定年まで40年前後コツコツと勤め上げて、決まりどおりの時期に規定通りに退職し、計算したとおりの退職金を受け取り、先に退職した先輩と同じレベルの老齢年金で悠々自適な老後をのんびり過ごす・・・などという人生を送る人は(そのことの良し悪しは別として)今後はどんどん少数派になってゆくのではないかと思っています。


新入社員へのアンケート結果で、今の会社に定年まで勤めるつもりだと答えた人は2割にも満たなかったという話しを数年前に聞いた記憶があります。企業の雇用に対する姿勢や賃金、退職金などについての考え方も大きく変わってきており、労働人口の問題、社会保障の状況の変化などなど、様々な事象から考えて、早期退職や転職は日常的な人生のイベントの一つであると言えると思います。
また仮に定年まで勤め上げての退職となった場合でも、定年後を遊んで暮らすというのは殆ど考えられませんし、その後の長い人生に関してのライフプランはどうしても必要になるでしょう。 現代の日本人にとって定年後は「余生」というには余りにも長期なのです。


アメリカ型の超合理的経済社会システムの弊害にさすがに多くの国民が気が付いて、近い将来に日本的な温かみのある制度を復興させようとする動きが出てくる可能性は高いと思います。 それでも、終身雇用や年功序列や家族的経営などが高度成長期のように完全復活することはもう無いだろうと考えます。老後対策と共に、転職、退職対策は我々ファイナンシャルプランナーにとっての主要な分野となることでしょう。


こうしたテーマを早くから取り上げて、終身現役、組織から個へ、人生を自ら切り開くことを訴え続けている田中真澄さんの沢山の著書の中から、今日はこの本をご紹介します。



50歳からの定年予備校 (講談社プラスアルファ新書)

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