独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

誇大広告を見つけたら!!

♬ウソぴょんは嘘つきで コダイは大げさで まぎらワシはまぎらわしい  広告で彼らを見つけたら JAROへ! ♬
・・・・このフレーズにお聞き覚えはありますか?
私は毎日ラジオから流れるこのCMソングが耳にこびりついています。

※「JARO」は「公益社団法人 日本広告審査機構」 の英文名 「Japan Advertising Review Organization」 の略称です
www.jaro.or.jp

そしてこのJAROのCMの直後、民間会社のCMが流れてきた瞬間に「あっ、JAROに連絡しなくちゃ!!」と思ったりすることが少なくありません。怪しい雑誌やネットとは異なりマスコミ発信のCMにはさすがに「ウソぴょん」はいなようですが、「コダイ」「まぎらワシ」は結構沢山生息していると思っています。化粧品、美容器具、健康食品、サプリメント、ダイエット商品のCMについては「ほとんどみんな怪しい」と私は思っています。(個人の感想です)
JAROのサイトにある審査状況報告によると、2019年度の審査依頼や苦情が寄せられた対象商品のトップは「デジタルコンテンツ」(多くがゲームなどのスマホアプリ)で、僅差の2位は「健康食品」だったそうですが、特に健康食品広告のおびただしい数とその表現の怪しさは私の印象では断トツ一位です。以前このブログで紹介したことがありますが、私が健康食品の多くを信用しなくなったきっかけは生物学者福岡伸一さんの複数の著書にある主張です。
ブログで紹介した内容を再掲します。以下、福岡氏の「動的平衡」からの再度の引用です。

コラーゲンは細胞と細胞の間隙を満たすクッションの役割を果たす重要なタンパク質である。肌の張りはコラーゲンが支えていると言ってもよい。ならばコラーゲンを食べ物として外部からたくさん摂取すれば衰えがちな肌の張りを取り戻すことができるだろうか。答えは端的に否である。食品として摂取されたコラーゲンは消化管内で消化酵素の働きにより、ばらばらのアミノ酸に消化され吸収される。コラーゲンはあまり効率よく吸収されないタンパク質である。消化されなかった部分は排せつされてしまう。一方、吸収されたアミノ酸は血液に乗って全身に散らばっていく。そこで新しいタンパク質の合成材料になる。しかし、コラーゲン由来のアミノ酸は、必ずしも体内のコラーゲンの原料とはならない。むしろほとんどコラーゲンにはならないと言ってよい。・・・
ついでに言うと、巷間には「コラーゲン配合」の化粧品まで氾濫しているが、コラーゲンが皮膚から吸収されることはありえない。分子生物学者の私としては「コラーゲン配合」と言われても、「だから、どうしたの?」としか応えようがない

更に、加齢で衰えた膝関節などに「効く」と言われるものについても・・・・

これと同じ構造の「健康幻想」は実は至るところにある。タンパク質に限らず食べ物が保持していた情報は、消化管内でいったん完膚なきまでに解体されてしまう。関節が痛いからといって、軟骨の構成材であるコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を摂っても、口から入ったものがそのままダイレクトに身体の一部にとって代わることはありえない。構成単位にまで分解されるか、ヘタをすれば消化されることもなく排泄されてしまうのである。

・・・というのが科学者のまっとうな意見なのであります。TVCMに限らずバラエティなどで鍋料理をつついては「コラーゲンたっぷり、やだあー、お肌プルップル!」とかいうのを見るたびに私は大いに白けてしまうのです。

これに関連して最近気になっているのが「機能性表示食品」なのですが、その多くのCMで「トクホではなく機能性表示食品です」とわざわざ言っています。トクホとは「特定保健用食品」ですが、その違いな何でしょうか。

以下は「消費者庁HP」の記載からの抜粋です
まずは「特定保健用食品」(トクホ)

特定保健用食品とは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、健康増進法第26条第1項の許可を受け、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)※をする食品。
※ 保健の用途の表示とは・・・「お腹の調子を整える」、「コレステロールの吸収を抑える」、「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」など

○食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うもの。
特定保健用食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならない
○表示の許可に当たっては、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受ける必要がある。

(太字は筆者)

では「機能性表示食品」は・・・

機能性表示食品
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたもの
ではありません
トクホは、専門家の意見を踏まえて消費者庁が審査しますが、機能性表示食品は、あくまで企業による届出だけで表示ができるため、この制度の食品を利用する場合には、信頼できる企業かどうかも重要です

要するにトクホは国が効能を確認したものだけど、機能性表示食品の機能については国は関知してませんからね・・・ということでしょうね。


大手有名企業が堂々と販売しCM展開をしているコラーゲンやらグルコサミンやらの商品はほとんどが「機能性表示食品」のようです。広告を読んでみると「コラーゲンを補給できる」とありますが「コラーゲンが再生される」とは書いてありません。しかし「飲んだ人には効果があった」との表示があり「出典」も記されています。その「実験?」の被験者数は30人でした。ふう~ん、そうなんだ・・・という感じですね。
そして利用者の満足度調査結果(もちろん全員に近い人が満足している)の表示があるのです。
まあ、利用者が満足しているというのだから、そして薬品にも健康食品にも「プラセボ効果」という効果があるのも事実なんですから「ソレデイイノダ!」ということなんでしょうね。

ところで私は筋トレを始めてから12年になりますが、その間、いろいろなサプリメント等に手を出しました。
プロテイン、HMB、BCAA、ECA、ビタミンB群、等々・・・。筋肉増強に関する様々な効能に関する記述を沢山見分しましたが、現在はシンプルにプロテインとECAだけに落ち着きました。もちろん、これらは「食べるだけで・・・」という機能はなく、あくまでもトレーニングと併用して初めて効果があるものです。色々試したものには殆ど意味がなかったものもあったようですが、それはお勉強だった、ということです。
「あらゆる商品は、まずはそれを売っている人たちのために存在する」という基本原理をいつも頭に入れて、できるだけ賢い消費者になりたいと思っています。