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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

日本国憲法について考える

日本人のための憲法原論

日本人のための憲法原論

今年の憲法記念日は昨年までとは少々違っている様子です。なぜなら現政権が(というより現首相が)憲法改正への道を開こうと必死になっている今日この頃だからです。なにしろ「改憲」は、自民党の結党以来の悲願とのことなので、何らかの前進を果たせば、おそらく党史に大きな足跡を残すことになるのでしょう。


新聞の世論調査は右も左もあてにならないとしても、国民の憲法改正に対する気持ちは賛否両論どうも割れているようです。ともあれ今までになく憲法という言葉が日本人の口にのぼる頻度は格段に上がっていると思いますし、そのことは大変良いことではないかと思います。だいたい日本人は人権とか自由とか平等とか平和とかについて議論することがあまりにも少なすぎると私は思っています。


世界中で紛争、戦争が頻発しているのに、なぜ日本では半世紀以上も戦争被害が(直接的には)なくてすんでいるのか。改憲したい人たちは「自主憲法」という言葉をよく使いますが、日本の憲法は本当にお仕着せ憲法なのか。戦争の放棄という理想と自衛隊という軍隊の存在との関係は矛盾なのか。公共の福祉と個人の自由との折り合いはどうやってつけるのか。・・・そもそも、憲法とはいったい何のためにつくられたのか。考えるべきことは実にたくさんあるのです。


安倍さんはハードルを下げて憲法改正を発議して、憲法改正の国民投票を実行しようとしていますが、その当の国民は「憲法とは何か」についていったいどれほど理解しているのでしょうか? また、その国民の(一応)代表であるところの国会議員の先生方でさえ、どれほど理解しておられるのか・・・大変に不安を感じます。なので、憲法改正への方向付けには賛成ですが、今の段階で実際に改憲を実行することには私は反対です。もっともっと、きちんと憲法についての理解を深めたうえで進めていただかないと困ります。


さて、以前にもこの本はブログで取り上げたのですが、あまりにも素晴らしい内容だと思うので、しつこく再び紹介いたします。主に西欧で憲法が生まれてきた背景とその過程が大変分かりやすく書かれています。また、あまり学術的な言葉づかいではないため「読み物」として読み進めることができるとても良い本だと思います。
著者の小室直樹さんがこの世にいないことを非常に残念に思いますが、こうした素晴らしい成果を残して頂いたことに心から感謝しています。このなかから、一節だけ「まずはこのことを理解してから」と言える部分を引用します。

憲法とは国民に向けて書かれたものではない。誰のために書かれたものかと言えば、国家権力すべてを縛るために書かれたものです。司法、行政、立法、これらの権力に対する命令が憲法に書かれている。国家権力というのは恐ろしい力を持っている。警察だって軍隊だって動かすことができる。そんな怪物のようなものを縛るための、最強の鎖が憲法というわけです。・・・(中略)
日本人の多くは国家権力のことを「お上」と呼ぶくらいですから、国家は本来、善であると考えている。ここに大きな誤解があるのです。

まずは、ここから出発しなければ、憲法改正の議論は始まらないと思うのです。ぜひとも多くの人に読んでほしいです。