独立FPの独白ブログ

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金曜夜に蒼ざめるのは誰か

私は基本的に人混みが苦手です。たまに仕方なくラッシュ時の通勤電車などに乗ると、心身ともに深く疲労します。行列も大の苦手で、どんなに評判のラーメン店でも長い列に並んだだけで食欲低下し興味も薄れうまいと感じなくなります。
そんな私なので、しかも若い時から超ノンポリのこの私ですから、デモだとか抗議集会だとかに参加するなんて普通では考えられないことなんです。

そんな私ですが、先週の金曜日、原発再稼働反対の抗議行動が行われている首相官邸周辺に行ってきました。これから参加しようかなと考えている人には多少参考になるかも知れないので少しレポートします。

混雑を避けようと思い、官邸から少し離れた赤坂見附駅で降りて官邸方面に向かって歩いた。8分ほどで溜池山王のホテルの裏手、ちょうど総理官邸の裏あたりに到着。
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官邸はすぐそばだなと思っていると、抗議行動スタッフらしきおばさんが「お疲れ様です参加の方はこちらからお願いします」と誘導するので、軽いウオーキングの様相の老若男女と共に北側に歩いて行った。
途中でいかにも政治家密談御用達っつう感じの料亭が見えたので思わず撮影したが、どうもこれはお蕎麦屋さんらしい??。
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ほんの少し迂回して官邸前に誘導されるのかと思っていたが、実際はとんでもなく遠回りのルートなのであった。
地下鉄永田町駅から出てくる人も合流してけっこういな列をなし始めたので、だいぶデモらしくなってきたなあと思いながら国会図書館の横を通って憲政記念館前の交差点を右折した。
議事堂の正面を右に見ながら通過して霞が関交差点に向かった辺りから、行列の最後尾となって、ぴたりと動けなくなる。田中康夫議員発案の白い風船を配る人、ギターを弾いて何かを歌う人、プラカードを持つ人など活動スタッフとか呼びかけ人らしき人が増えて来て、いよいよデモらしくなってきた。さて、もう少しで官邸前かと思いきや、そこから先にほとんど進まず時間が経過し、時計は18時15分を過ぎた頃。


列のしっぽから先方を見るとほとんど列が進んでいないように見えた。この先に入り込んでしまって動きが取れなくなることに恐怖を覚えたため、いったん後退して様子を見ることにした人混みに弱い私でした。そして、国会議事堂正門前に陣取ってツイッターのチェックやら動画撮るやらしていたのです。
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このあたりの歩道には同じように「行列に突っ込んでい行くことに躊躇した」人たちがたくさん佇んでいる状況の中で、40歳前後と思しき美女と二言三言を交わしたり、これから関西に出張に出かけるという若いビジネスマンと話したりしたのです。
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太鼓の音と「再稼働反対」の声が最後尾にも次第に拡がって来たけれど、この場所から官邸前は全く見えないので、どうなっているのか見当がつかない。つまり今回警察は車道開放などをせず、デモを歩道の上だけに限定することで細い列状にし、一ヶ所に集中する場所を少なくしたらしい。
あちらにその意図があったかどうかは不明だが、集会というより官邸、議事堂を「周回」する形となり、結果としてエネルギーが分散されたように思われる。

仲間通し、若いカップル、シニア世代のご夫婦などもおられたが、もっとも目立ったのは私同様、何気なく一人で来てしまったと思われる人たちだ。市民と警察官とのやりとりなどは基本的には穏やかで、嫌な気分になることはあまりなかった。しかしツイッターの情報などによれば、私がついに到達しなかった官邸前付近の「中心部」に近いところは、かなり違った様相を呈していたらしい。


雨がけっこう降って来て、やはりこの天候なので集まり悪いのかなあと思いながら、私は列の最後尾に付くのをやめてぐるっと迂回してみようと考えた。そこで国会正門前からお堀の方向に行き、国土交通省、外務省などを左に見ながら霞が関の交差点に向かってみて、私は驚いた。国会正門前とは比較にならないほどの盛り上がりぶり。
自前のプラカードを持ち、子どもを抱き、周りを気遣いながら傘をさし、再稼働反対、子どもを守れと声をあげる人たち。私はこの場所に来てとうとう涙を抑えられなくなりました。
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私自身がまた参加するかどうかは分かりませんが、もしも今度行くなら、もっと早い時間、例えば17時過ぎくらいから霞が関交差点側からアプローチしたほうがよさそうだ。おそらく地下鉄の国家議事堂前駅は早い時間から封鎖されると思うので、下車する駅は霞が関か溜池山王くらいが良いだろう。そして「誘導」が始まる前に官邸に近づいておくしかないのではないだろうか。今回6日、中心部では坂本龍一教授のスピーチがあったりしたらしいので、やはり中心に行ってみたかったな。


デモに参加することも、どこかで発言することも、何かの活動を支援することも、すべてひとそれぞれの自由であり、色んなやりかたがあるし、そもそも「再稼働賛成」の意見もあるのだ。 しかしこれだけは言いたいと思うのは、「何も考えない」のだけはやめた方が良いということだ。多くの被害者を生んだ地震と津波、そして無知であったことの恐ろしさを思い知らされた原発の真実に触れた今こそ、エネルギー、安全保障、核開発と国際関係、富の再配分の問題や日本の統治の根本の問題について、ぼくらも考え悩む時でしょう。
みんなで考えましょうよ。