独立FPの独白ブログ

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あのころ日本人はオトナだった?

先日録画しておいた「黒部の太陽」を観ました。この映画は三船敏郎石原裕次郎という二大巨頭の主演、三船プロダクション&石原プロモーションの共同制作で話題となった1968年公開の壮大なドラマです。【写真は原作本です】

黒部の太陽

黒部の太陽


私はこの映画を中学校時代に学校行事で観に行った(或いは学校の講堂で鑑賞した)
記憶があります。また、小学校の修学旅行かなにかで黒部ダムを見学した記憶と重なって、私にとって妙に懐かしい強烈な印象の映画となっています。同年代の多くの人にも強く記憶に残っているはずです。


この映画、最近一部の劇場で公開されたようですが、色々な事情があるらしく、これまでビデオにもDVDにもなっておらず「幻の名画」の様相を呈しているようです。
私が数十年ぶりに観た「黒部の太陽」は編集された短縮版だったようですが、充分に見応えのある大作でありました。


ドラマの主人公は熊谷組佐藤工業、間組などの土木建設会社の経営者、社員や下請けの作業員達と関西電力の幹部達とその家族です。
巨大なトンネル掘削機など存在しない当時ですので、堅い岩盤にドリルでアナを掘り、発破を仕掛けて岩を崩す。天井がいつ崩れるかも知れない狭い坑道の中で少しづつ掘り進むのです。
作業員達に求められるのは、技術のみならず、超人的な精神力と気合です。
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安全性の観点から工事を阻止しようとする技術者、経済性と公共性のはざまで決断を悩む経営者、科学的判断と精神論との対立、工夫の意地と誇り、そして、日本の発展のために自らの犠牲もとわず突進する男たちと、彼らを陰で支える女性たち。


観終わってホ―っとため息をついて感じたことは、ひたすら前進することが出来ていた昭和という時代の日本人と、ズルズルと下り坂を落ち続けているような平成のこの時代の我々日本人との対比です。
あのころを懐かしむセンチメンタリズムだけではなく、何か根源的な日本人の魂について感慨にふけってみたくなったのでした。
それにしても電力会社の人が素敵な人に見えるという不思議な感覚も残ったのです。
DVD化の実現をのぞみます。