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独立FPの独白ブログ

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隠される原子力・核の真実

読書 ライフプラン

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ

隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ


京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、高校時代に「夢のエネルギー」原子力技術の素晴らしさに憧れて、その研究の道を目指して東北大学工学部原子核工学科に進みました。しかし原子力技術を学び始めてすぐに、彼はその考えが間違っていたことに気づいたそうです。
そして以来40年に亘って「原子力反対」の立場で原子力を研究し続けているという小出先生の著書を読みました。


原発事故発生後ツイッターやネット報道を通じて初めて小出先生の存在を知った私ですが、インタビューや言説を見聞きしては、真実を追求し続ける姿勢、信念を貫こうとする熱意に強く尊敬の念を抱いています。インタビューなどで断片的に得られた原発関連の実情について整理したものを読みたいを思って買いました。


現在進行中の大事故のことなど一般人は想像もしていなかった昨年暮れに発売されたこの書物には、原子力の専門家が懸命に原子力反対を訴え続けている理由について、実際のデータと共に淡々と書かれています。
原発のことなど一切無知の私にとってその内容は驚くことばかりです。
読みながらぐさりと響いたチェックポイントだけ並べます。

  • 「クリーンで安全」な原子力発電所は都会から遠い場所に設置されている理由は明白。
  • 100万KWの原発一基の運転により広島原爆1000個分の核分裂生成物を毎年生み出す
  • ウラン濃縮とプルトニウムを生み出す過程で大量のゴミとして劣化ウランが発生し、その放射性のゴミは「劣化ウラン弾」としてアメリカの推進する「世界秩序を守る戦い」のために使用されている。
  • 火力発電の燃料のひとつである石油が底をつくと見込まれる予測年数は現時点で50年、石炭が底をつく予測年数は1000年後。ウランは石油の数分の一しか無い。
  • クリーンなはずの原子力発電は燃料の採掘、精製、濃縮、加工、廃棄物処理、その他の関連プロセスで膨大な量のCO2を発生させている。
  • 最新技術の火力発電設備の発電効率50%超だが、原子力発電では33%である。
  • 水力、火力発電能力に自家発電を加えれば、真夏のピーク時の電力需要もさほど無理せずともクリア可能である。
  • 基本は同じものであるにもかかわらず、日本で言う「原子力技術開発」は、例えば北朝鮮やイランが行うと「核開発」と称される。
  • 「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則が形骸化されていると明確になった日本だが、ウラン濃縮、原子炉、再処理の3つの核開発基本技術を核保有国以外で維持しているのは日本だけである。
  • 原子力発電技術はそのまま核兵器開発に直結する技術である。


自国防衛の軍隊を無いことにし、核開発をしていないことにし、原子力のリスクも無いことにする。戦争放棄と言いながら米国の戦争にはいつも賛意を明言する。
世界唯一の被爆国といいつつ、平和利用と称して核技術を商売のネタにし、最強核保有国の傘の下で自国防衛を図る、そんな日本を外からみたら、いったいどのように見えるのだろう。
このうように考えると、耐えがたいほどの自己嫌悪を感じます。


国民は真面目だが国家はだめ、ではもう済まないだろう。こういう国の姿勢を知らぬふりをして生きていることは私には耐えがたい。何もできませんが、異論排除の悪習慣から抜け出して、お上任せの体質を自己反省し、少なくとも本当のことを知る努力だけはし続けたいと考えます。