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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

外部との交通交信が途絶えた孤島の館に集められた人々が次々と死んでゆく、いったい誰の仕業なのか、全員が疑心暗鬼にとらわれ互いを疑いながら恐怖の中でひとり、ひとりと減ってゆく・・・・。


この孤島殺人のストーリー展開はミステリ小説の世界でひとつのパターンとなっていて、日本でも多くの作家がこのパターンの傑作推理小説を書いていますね。
おそらくその元祖と言えるのがアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」でしょう。新訳文庫版が早川書房から今年発売されたので読みました。


名探偵ポアロミス・マープルも出てこない「ノンシリーズ」物で最も有名なこの作品は、
クリスティのデビューから19年目のかなり脂の乗り切った時期の発表です。
「こんな作品を書きたいという目標である」と評している解説の赤川次郎氏が次のように書いています。

退屈させることがない、巧みな構成。==中略==ストーリーのための無理な恋愛や展開が使われていない点も、ミステリー作家として多くの作品を書いていると、いかに凄いことかよく分かる。もうひとつ、これほど人が次々に死んで行くのに、少しも残酷さや陰惨な印象を与えないこと。(巻末の解説より抜粋)

「知的で粋な娯楽としてのミステリ小説」の最高のお手本と讃えています。
私の印象としては何か定番のお芝居をのんびりと観劇しているようでした。恐怖を感じると言うよりも、適度なサスペンス感を楽しむという気分で淡々と読み進みました。


最近ミステリ小説の古典的作品の新訳本がちょっとしたブームのようです。古い文庫本は紙
の色も褪せているし文字も小さく読みづらいと嘆いていた矢先なので、ありがたいことです。
私の好みでは「クリスティの最高傑作」とはあまり思いませんが、これから色々なミステリを読んでみようと思っている人には「定番ミステリのひとつとして」お勧めです。
これを読んでおいてから、日本の作家の孤島ミステリを色々読むのは楽しいかも・・・。