- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 文庫
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新書大賞に選ばれた内田樹氏の「日本辺境論」を読んでからというもの、ますます「日本論」を追及したい気持ちがたかまって来ました。
「日本の、日本人の良さを確認したい」「日本をもっと好きになりたい」と素朴に思うようになり、そんな気持ちで日本論関連本を探していたところ、「日本流」の文庫化再発売を知って購入しました。
ユニークな文化論で知られる著者の松岡正剛氏は先日テレビに登場した際には「知の巨人」と紹介されていましたね。
日本の文化や習慣や民族性はどのような性質を持ち、どのように分類されうるのかといった議論とは少し違います。松岡氏のいう日本の特性についてのキーワードを無理やりひとつに絞るとすれば「多様で一途な国」ということになりますが、それは日本人の脈々と受け継がれているあらゆる分野に共通する「方法論」「やり方の流儀」のようなものです。
日本文化研究者(法政大教授)でテレビにも時々着物すがたで登場する田中優子氏が書いている本書の解説を引用します。
日本流とは「日本的なるもの」のことではない。もし、日本文化の歴史や、今日の日本にあふれている様々なものについて日本的か否かを問うのであれば、たちまち日本的な形が気になりこだわり、その範囲は極めて狭いものになるだろう。伝統の檻に閉じ込められ元気を失ってしまうであろう。
そこで「日本流」である。日本流とはあくまで日本の流儀のことでその現れは多様であふれんばかりだ。日本流とは歴史上と今日とに現実に存在する多様さに対応する言葉として初めて発明された表現であり視点なのだ。今後日本的という言葉は廃止して日本流と言おうではないか。
サザンの桑田さんの歌詞に英語や古言葉(いにしえことば)が混じっていることとか、カレーラーメンとかたらこスパゲッティとかきんぴらバーガーとかがあることとか、外来語だと思っていた言葉が実は完全な造語だったりすることとか、年末年始の日本にはキリスト教と仏教と神道が入り乱れることとか、日本の色々な不思議について、それらがいかに面白いことかを感じることができるでしょう。
日本の私たちは日本流を踏襲して「多様であり一途である」ことを大いに誇りにしたいと思うのです。松岡氏の世界は実に奥深いので、「松岡正剛入門書」とも言えるかも知れません。
日本って素敵だなあ〜と思いたい人にお勧めします。