独立FPの独白ブログ

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アメリカの医療保険改革

医療保険改革法案、7票差で下院可決
米下院は21日夜(日本時間22日午前)の本会議で、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げてきた医療保険改革法案を賛成多数で可決した。昨年末に上院が可決した案を土台にした内容で、下院通過により法案成立は確実になった。今後10年間で保険加入率を95%に引き上げ、歴代大統領が取り組みながら実現できなかった「国民皆保険」へ前進した。(23日:日経)

もしも本当にこの政策が前進すれば久々の革命的出来事となるでしょう。


「すべての国民に基本的な医療を保証する国」を目指すオバマ大統領の政策は、ギリギリの賛成多数でなんとか可決されました。このニュースに私は単純に良かったねと感じるのですが、当のアメリカ国民のおよそ半分は「とんでもないことになった」と感じているらしいのです。


ほころびが目立つとは言うものの「国民皆保険」をなんとか維持している日本の私たちから見ると、すべての国民が基本的な医療を受けられる状態を歓迎しないという感覚は理解しにくいところです。自分のことは自分で守る、国家の介入は極力少なくすべきだという建国以来のアメリカ精神の現れでもあるので、我々には容易に理解できないのも当然かも知れません。


「お金持ち」は自分で努力してその地位を勝ち得たのであり「貧乏人」は努力を怠っている怠け者だから仕方がない。怠けものが病気になっても直せないのは自分の責任だ。だから私は自ら努力してそんな怠け者の世界から一日も早く脱出してより上位の階層を目指すのだ。
自ら努力して得た富で高額な保険に加入してるから病気になれば十分な医療を受けられるのであって、保険に入れない貧乏人(=怠け者)が医療を受けられないのは自業自得なのだ。


アメリカは誰もが平等にチャンスを与えられている自由の国なのだから、懸命に努力すれば誰もが金持ちになれるのだ。
そんな「アメリカンドリーム」という幻想を追い続ける素直な貧乏人たちは「1%の超富裕層が底辺の95&以上の富を所有して独占的に利益を得る社会(プルトノミー)を作り上げてしまったのです。(マイケル・ムーア監督談)


建国以来の高邁な独立自立の精神という御旗のもとに、アメリカンドリームというプロパガンダ戦略によって「独占する富を使って政治家を動かし、自らの利益誘導のために国の政策を推進」してきたひとつの現われが「国の医療保険制度が無い唯一の先進国」ということでしょう。
(救急車で運ばれるだけで10万円払わされる・・など信じられません!)

  • 国の医療保障制度がないのだから、民間の保険会社が高額な医療保険契約を維持して大儲けをする。
  • 自分の安全を自分で守るべく皆が拳銃を持ちたがるので、銃砲業界が大儲けをする。
  • 世界市民の自由を偏向思想の独裁者から守るために止む負えずに戦争をするので軍需産業が大儲けをする。
  • アメリカンドリームを支える自由主義、市場主義を徹底するから、金が金を生むマネー至上主義の金融業界が大儲けをする。

単なる強欲な金儲け主義の連中にそのお墨付きを与えるのは常に「高邁な精神」なのですね。


だからやはり我々庶民は「自分で考えるあたまと自分で感じる心」を強くしなければならないと思うのです。