- 作者: 宮台真司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/04
- メディア: 新書
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4月のある日、宮台真司氏初の新書(平凡社新書「憲法対論」は共著なので)が書店で平積みされているのを見つけました。
文芸春秋社がシリーズ化している「日本の論点」をもじった書名はシンプルでわかりやすく、宮台さんの日ごろの言説をまとめて読めそうだと思って即購入しました。
内容はほぼ期待通り、今の日本の諸問題を社会学者の見方で分析し、要点を解説し、我々は社会とどう関わり、いかに生きてゆくべきかを考えるきっかけを提示してくれています。私はここはポイントだと感じる箇所を後日再読するためにページの角を折る癖がありますが(傍線を引くよりはいいでしょう)、日本の難点の折り目は12箇所になりました。本当はすべてがポイントと言いたいところですが。
「この本はこれ以上あり得ないほど、噛み砕いて書かれている」と宮台氏自身はあとがきで言っていますが、正直なところ、日ごろから社会科学関連の文章にまったく慣れていない普通の読者にとっては少々とっつき難いのではという感じがします。恥ずかしながら私は、ケイタイの国語辞典、英和辞典を傍らに置きながら読みました。
それはさておき、進行し続けてきた「近代化」のなかで私たちが失ってきたもの、忘れてしまっていること、思い出すべきこと、造り直すべきもの、などについてキチンと気づき、そしてため息ばかりついているのではなく前を向いて考えなければ、社会的動物としての生きる価値がないというものだなあ、なんてことを思ったのでした。
かなり売れているとの情報があるので昨日書店で確認してみたのですが、発行後2ヶ月弱のこの時期に第5刷となっていました。こういう書名の本が売れていること自体が日本の状況を表しているとも言えるでしょう。