独立FPの独白ブログ

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現代思想を寝ながらお勉強

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)

「疲れすぎて眠れぬ夜のために」を読んで内田樹さんは読みやすいと思ったことと、構造主義が寝ながら学べるというのは大変有り難いと感じたのでこの本を読んでみることにしたのです。おかげで、構造主義の深く広い大きな世界を知るための一歩を踏み出すことはできました。
構造主義とは△△のことである」などと人様に言える様な状況には程遠い現状ですが、無知の暗闇に一筋光が見えたかも・・・。


そもそも構造主義の「構造」とは何でしょう?その答えを求めて例えばネットで色々検索して見ても「構造とは○○である」と一言で言い表す説明はなかなか無いようです。むかし、女性の身体のある部分のことを「構造」と表現していた官能小説作家(川上宗薫氏)がいたことを突然思い出したのですが、構造とはこのように様々な分野で様々な使われ方が出来てしまうような不可思議な言葉であるようなのです。
貧困を生む社会構造とか、腐敗を育む構造とか、構造改革だとか、結構頻繁に登場するくせに随分とわかりにくいもののようですね。


さて「構造主義」を無理やり要約すると次のようになるようです。
【人間は常にある時代、ある地域、ある集団、ある社会に属していて、その条件がものの見方感じ方考え方を基本的に決定しているものである。人間は自分が思うほど主体的にものを見たり判断したり行動している訳ではないのだ。という基本姿勢で人間の様々なことを考える立場である。】


・・ということなのですが、それではこのような立場でものを見たり考えたりすることはどんな意味があるのでしょうか。これを端的に教えてくれている文章を本書から引用します。

いま私たちがごく自然に、ほとんど自動的に行っている善悪の見極めや美醜の判断は、それほど普遍性をもつものではないかも知れないということを常に忘れないことが大切です。それは言い換えれば自分の「常識」を拡大適用しないという節度を保つことです。

この考え方の現実社会への応用としては、 たとえば某国が核兵器の開発だのミサイル発射だのを強行し、周辺諸国に無理難題を要求するような事態に接して、「考えられない無謀な行為」と切り捨てたり、話にならんと怒りを露にしてみても、何も解決しないということに結びついたりするのでしょう。


他人の立場をとりあえず尊重する姿勢は複雑化する国際社会を生き抜くために必要不可欠な常識と言えるのでしょう。なので、構造主義を知ることはとっても有効なのだ、というところまでは理解できた気がします。読みやすいのでお勧めです。