独立FPの独白ブログ

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「官僚の官僚による官僚のための統治」

日本という国家の主権はどこにあるか? 以下は日本国憲法の前文の一部です。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し・・(そして外国との協調、平和の維持の宣言があり)そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。・・・

日本国の基本原理は国民主権です。そして日本では国民主権主義の実践手段として「議院内閣制」を採用しています。
有権者が国会議員を選挙で選任し、国会議員は国民の代表としての権限によって首相(内閣総理大臣)を選任し、首相は国務大臣を選任して行政を行う。国務大臣は各々の所轄分野において各省庁の官僚による補佐を受けて行政の具体的な活動を行う。つまり、《一般国民→国会議員→首相→大臣→官僚→行政活動》という権限委任の連鎖によって日本国は動いているのです。・・・・・ということになっているはずなのです。


ところが、現在の日本では実際の統治構造が本来の姿からはかなり歪んだものになっているという指摘がいたるところでなされています。
中公新書・『日本の統治機構』の第2章で著者の飯尾潤氏は、『戦後長らく続いてきた日本官僚制の基本構造』の大きな特徴としてその人事制度を次のように述べています。

官僚が自分達の都合でほとんどの人事を決める日本の状況は(諸外国の中で)かなり異例である。近年まで任命権者である大臣を含め政治家の介入を殆ど排除することに成功し、各省庁官僚が自律的に人事を行ってきたのである。しかもそうした官僚人事は高度に制度化されており簡単には壊れない。(「日本の統治構造」41頁より)


組織のコントロールに絶対に欠かせない権限のひとつが「人事権」ですが、その権限は現実には内閣には無い・・・ようです。公務員制度改革に真っ向から抵抗の姿勢を示している人事院トップ官僚の発言の報道も記憶に新しいところです。今の日本は基本的に「主権官僚国家」なのではないでしょうか。


以下は3月10日、記者会見での民主党小沢代表の発言からの抜粋です。

・・・それからもう一つ言ったのは、私の政治家としての、生涯かけての大目標は、一つは官僚主導の政治・行政を、国民主導の国民の側に立った政治・行政に改める。それが一つ。もう一つは日本に真の議会制民主主義を早く定着させなければいけない。以前から諸君にも話をしていたと思うが、その二つを実現するためには、政権を変える以外にない。それが私の政治家としての生涯の大目標であり、夢であり、使命であるということで、私個人うんぬんの問題ではないと。その大いなる目標を達成したいと。何としても実現したいということを申し上げたということであります。

所謂「金権政治家」の代表格と見られ続ける小沢氏について、「金集め」などの疑惑が一切無い品行方正な政治家だとは私は思いません。しかし、上記のような発言の内容について、これは小沢氏の本音であるに違いないと私は思っています。「政治・行政を官僚主導から国民主導に切り替える」ことが絶対必要な日本の大命題であり、そのためには今は「政権交代」が絶対に必要とも思っています。民主党の方が自民党より優れている、とかいう問題なのではありません!


政治主導を言い続け、その政権交代の主役と目される民主党の党首が、今、国家権力に追い込まれようとしています。狙われたら絶対に勝てないという意見が大勢を占めています。なんという恐ろしい国でしょう。いくらなんでもあまりの露骨さ、単純さ、こんんな「ベタな」構図ではないだろう
もう少し深い狙いがあるのでは・・と思っていたのですが・・・、いやあこれが今の日本の現実ということなのでしょうか??
しかし、本当にそうなのかなあ???


日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)