独立FPの独白ブログ

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「国策捜査」って何だろう?

選挙の顔 一転窮地 小沢代表秘書逮捕 
 「検察の陰謀か」「選挙はどうなる」−。準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の脱法献金疑惑は三日、小沢一郎民主党代表の資金管理団体政治資金規正法違反事件に発展した。総選挙間近、小沢総理誕生ともささやかれる中で、東京地検特捜部は、建設業界に大きな影響力を持つ代表の公設秘書逮捕に踏み切った。民主党議員は「国策捜査」と検察を批判、自民党議員は「民主党は国民を裏切った」と話した。(2009年3月4日 東京新聞


この事件が「国策捜査」であるのだとしても、その目的が単に「民主党政権実現を阻止する」などということであるとは私には思えません。民主党を不利にする陰謀だという発言はどうかと思いますね。
国家の命運を担っていると自覚している(はずの)エリートの人達が、現在の(こんな状況の)自民党政権を支持するとはとても思えないからです。政治が停滞することで官僚組織の価値を優位に保つという考えも一部にはありそうですが、それではあまりに悲しすぎます。もし国策だとすれば、その動機はもう少し深いところにあるように思います。もちろん何の根拠もない私の妄想にすぎませんが・・・・。


私が「国策捜査」というものがどういうものかを知ったのはいまだに多くの書店で平積みされている新潮文庫佐藤優著「国家の罠」でしたが、その中で東京地検特捜部西村検事が取調べ中の佐藤氏に対して語った発言として次のように書かれています。

これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出してそれを断罪するのです。

当の検事が「国策捜査」などと発言するところが驚きですが、では、その「時代のけじめ」とは何なのか。佐藤氏の分析が述べられます。

現在の(2002年小泉政権下のこと)日本では、内政におけるケインズ型公平配分路線からハイエク型傾斜配分路線への転換、外交における地政学的国際協調主義から排他主義ナショナリズムへの転換という二つの線で「時代のけじめ」をつける必要があり・・・

という説明であり、この分析には西村検事も全面的に同意見、だったということです。私も大いに納得しました。


さて小泉政権下でのいわゆる構造改革、規制緩和、市場主義的政策推進の背景としては「アメリカの要望」が大きな大きな影響があったことは明白です。そして、昨年秋に発生したアメリカ発金融恐慌を受けて、そのアメリカのやり方そのものが疑問視され始め、世界の秩序が転換に向けて大きく舵を切り始めていることも明らかです。


強引な市場原理至上主義路線の推進の結果が深刻な社会問題を生み出し続けている今の日本において、「時代のけじめ」とはいったい何なのでしょうか。今回の西松建設事件が国策捜査なのだとすれば、どのような時代の変化を象徴するものとなるのか、大変気になるところです。
また、政治の世界のウラオモテすべてを経験済みの小沢氏が、今日の記者会見で何を語るのでしょうか。
これからの日本の向かう先について大きな岐路のひとつとなるかも知れません。