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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

偽装通貨「円天」に学ぶ!

ライフプラン

「円天」巧みに資金集め L&G会長ら逮捕
 高額の配当や「円天」と称する疑似通貨を派手に宣伝し、巨額の資金を集めたとされる健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」。警視庁などは5日、同社会長の波和二容疑者(75)らを逮捕した。巧みな話術や会員同士の競争をあおる制度、有名人を利用した広告などで急速に拡大し、突然破綻した。大型詐欺事件としては過去3番目の規模。1260億円にのぼる巨額資金はどこに消えたのか。(6日:日本経済新聞社


ようやく逮捕にこぎつけた、ということでしょう。逮捕者の人数など見ても警視庁の意気込みを感じます。逮捕直前にテレビカメラの前で見せた会長のあの態度を見ると、より一層警察、検察はその威信を掛けて確実に最大限に重い実刑判決に追い込むのではないかと想像できます。


この詐欺事件については数年前から問題視されていました。私もブログで触れたことを思い出して見てみました。(過去の記事⇒お金はまぼろしかも
『遣っても遣っても減らない夢のオカネ』について「ホントに素晴らしいです! 最高です!」などと嬉々としてインタビュウに答えていたあのオバサンは今どうしているのでしょう。


この詐欺事件の核心である「円天」というのは元々この詐欺グループが作り出したダマシの道具です。
「円天は円とはちがう」のだ。「円天」はインチキで「円」とか「ドル」はインチキではない、誰もが思っているであろうこの常識の、その根拠はいったいなんでしょうか?


通貨(つうか)とは流通貨幣の略称で、国家などによって価値を保証された、決済のための価値交換媒体である。
これが一般的な通貨の定義ですが、より分かりやすく本質的な定義は次のようなものではないかと思います。


通貨が通貨としての機能を保持している根拠は、将来に亘ってこの通貨が通貨として通用することを誰もが信じているからである。』【岩井克人著「21世紀の資本主義論」(ちくま学芸文庫)】

これを世界の基軸通貨ということになっているドルに当てはめればこうなります。


世界中どこでも将来人々がドルを基軸通貨として受け入れてくれると予想できるのは、さらに将来世界中の人々がドルを基軸通貨として受け入れてくれると予想しているからであり、そして更に・・・・・・
つまり、

『ドルが基軸通貨であるのは、そのドルが基軸通貨として使われ続けてゆくという「予想の無限の連鎖」があるからである。』ということなのです。以前紹介したこともある岩井克人氏の名著のこの記述がまさに通貨の本質を言い切っていると思うのです。(思えば「無限の連鎖」という言葉に商法を付け加えれば「無限連鎖商法」すなわち「マルチ商法」ということになるのですね)


世界中で安定して通用すると考えられていた「ドル」も、昨年来の金融危機の流れの中ではその安定性が揺らいでいます。部外者にとっては「どうしてこんなものに騙されるのか」と言いたくなるような詐欺事件ですが、よくよく考えてみれば多くの人々が持っている(いた?)「ドル神話」とか「土地神話」などという感覚を思い起こせば、詐欺被害者を決して笑えないのではないでしょうか。