皆様、明けましておめでとうございます。
今年のブログは「読書」ネタから始めます。
- 作者: 宮台真司
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2008/11/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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行く年、来る年が切り替わる瞬間の何とも言われぬ興奮は、年齢を重ねるたびに薄れてゆくように思えるここ数年でしたが、このお正月はいつもと少し違うように感じています。
平成に入ってから日本では、その成長神話が崩れ去り、温和でお人好しで曖昧なニッポン的風土が壊れ出し、夫婦、親子、家庭、お隣さん、商店街、学校、街角・・・・の間を満たしていた少々どんよりとして粘りつくような、面倒なしかし暖かい空気が薄くなり続けてきた数十年だったように思います。
僕たちを良かれ悪しかれ包み込んでいた何かが日を追うごとに霧消してゆき、日本人はひとりひとりが生身の身体で冷たい街路に放り出されてしまったような、なんとも寒々とした社会に変貌してきたような気がします。
人間は多分、自分を包み込んでくれる社会の中でしか生きられず、仮にたった一人で何とか生き延びたとしても、社会の中での自分の位置をしっかりと確保しない限りは決して幸せになれない動物のはずです。
今、日本人が最も心を配らねばならないこととは、失われてしまった「僕らを包み込む社会の復活」か、あるいは「新しい形で僕らを包み込む社会の形成」では無いかと思うのです。
では、皆が幸せになる社会とはどんなものなのでしょうか。
親子の関係、お隣さんとの関わり方、リーダーの決め方、法律と常識の使い分け、冨の再配分、国のあり方、個人と公、自由と平等、正義について・・・・などなど、我らの幸福のためにあるべき社会はいったいどんな形なのか、という問題をひとりひとりがそれなりに考えるべき時代になったことを強く感じます。
そんな膨大で深遠なテーマを追求するためにどこから手を付ければ良いかとの迷いを吹き飛ばしてくれる「社会学入門書」ともいうべき本を、敬愛する宮台真司教授が書いてくれました。
最愛のお嬢さんが14歳になった時に語りかけようというイメージで書いたという「14歳からの社会学」は決してお子様向けの本ではありません。ナイーブで純粋で心も頭もやわらかい若者に向けて、自分の人生を自分で切り開いて行く為の「考え方の基本」について真剣に語りかけるように書かれたこの本は、14歳の若者にも、14歳の子を持つ親にも、かつて14歳だったことのある大人たちにも是非とも一読してもらいたい社会学事始の道しるべです。
「社会との関わり方」をどうするのかというテーマを一人一人が常に意識して毎日を過ごすことで、忘れかけていた大事なことを思い出し、置き去りにしてきた大切なものを取り戻し、日本らしい暖かい確かな居場所を作る。
そんな、日本社会再生元年とも言うべき年に、今年はなるのではないかという予感が私の心には涌いてきているんです。どうでしょう皆さん!
「14歳からの社会学」は、幸福な社会を考えるきっかけのひとつになるでしょう。