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「哲学の教科書」…なんて無い??

哲学の教科書 (講談社学術文庫)

哲学の教科書 (講談社学術文庫)



国家とは 権力とは 自由とは 生きるとは ・・・納得行く解答など到底得られそうもないわけの分からない疑問が次々と沸き起こり「ふむ、こうしたことをあれこれ考えるというのはひょっとすると『哲学』なのではないか?という単純な発想からついつい手を出した本が、中島義道著「哲学の教科書」でした。 


これまで私は哲学や現代思想の入門書の類を、何度も読み始めては挫折し、買っては積んどく(読)、を空しく繰り返してきたものです。本屋でふと手に取った「哲学の教科書」というかなりの確率でアイロニーであろうと思わせる書名のこの本の前書きには、
【哲学には「教科書」などあるはずがないということをこれでもかと語り続けた「哲学の教科書」なのです。】
とあり、これが気に入って読む気になりました。
かなりの期待感と共に読み始めたこの哲学入門書は多分、本当の意味での入門書として画期的な本ではないかと私は思います。ほかは知らないのですがね・・・。


哲学とは何なのか・・・という問いについて中島氏は明確にこう言います。
【・・事物を出来事を現象を存在を感覚を思考を・・・・全てを徹底して追及しようとする姿勢】こそ哲学するものの基本だと言うのです。


【哲学とは自分固有の人生に対する実感に忠実に、しかもあたかもそこに普遍性が成り立ちうるかのように、精確な言語によりコミュニケーションを求め続ける営み】であり、


【哲学の問いには最終的な答えはなく、最終的な勝負も決着もつきません。人類の歴史の終わるまで、繰り返し「自我とは何か」「時間とは何か」と問い続ける、それがわれわれの運命なのです。】と説いています。


哲学を学ぶと「人生とは何か」ついてのなんらかの解答が得られるように思い込んでいた私は、本当の哲学の意味について学ぶことが出来たのです。


そしてもうひとつの成果は後半部分から得られた「西洋と東洋の関係」についてです。
「言葉を駆使する西洋人と言葉を封殺してしまう日本人との思考の徹底的な違い」について考えさせられることになり、ここ数年頭のなかで渦巻いている「世界についての不安感、日本の方向性に関する違和感」について探ってゆくひとつの道筋を見出したように感じます。本当に読んで良かったです。


「世の中の厄介な問題」について考えるきっかけを与えてくれる、読みやすく、理解しやすく、かつ誠実な書物をこれからも探して行こうと思うのです。