独立FPの独白ブログ

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働き方の自由と平等

★強まる『平等』志向 『終身雇用』支持86%に(3月25日 東京新聞

 厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構が発表した「勤労生活に関する調査」によると、定年まで一つの会社に勤める「終身雇用」を支持する人の割合は86・1%と、前回2004年の調査から8・1ポイント上昇した。目指すべき社会についても、1999年の調査開始以来初めて「平等社会」が「自由競争社会」を逆転した。
 経済のグローバル化や構造改革の必要性が叫ばれる中、働いても豊かになれない「ワーキングプア」など所得格差の拡大が深刻化。調査結果は、急速な改革が社会に不安や新たなゆがみをもたらしたことへの反省から、保守的志向を強める人が増えている実態を浮き彫りにした形だ。
調査によると、フリーターの働き方に対し88・0%の人が「生活を不安定にする働き方」と否定的に考えており、「自由で多様な働き方」と前向きにとらえる人は26・8%にとどまった。
 社会的地位や経済的豊かさに関しては、「努力」や「実績」に応じて得るのが望ましいと考える人がそれぞれ8割を超えた半面、日本が目指すべき社会の在り方としては「貧富の差が少ない平等社会」が43・2%と12・6ポイント上昇。これまで常に4割を超えていた「意欲や能力に応じて自由に競争できる社会」は31・1%に低下した。


私は平成元年に勤めていた機械商社を退社して「成果報酬オンリー」の保険営業の世界に飛び込みました。そのころの日本はバブル経済の真っ最中で、国全体が一種のお祭り気分、トランス状態でもあり、「前進すれば道は開ける」気運に満ちており、脱サラした自分について世の中の先端を走っているように感じたものでした。(元気があれば何でもできる!ダア!)


仕事の報酬が成果主義なのは当たり前であって、大して働かない人も同じくらいの収入を得られるなどおかしなこと、年功序列賃金や終身雇用などは根本的に間違いである、と本気で思っておりました。
また、経済のみならずあらゆる分野で「グローバル化」の必然性が説かれるようになり、日本的経営、日本的労働意識は世界の潮流から乗り遅れた古臭い因習であるようにも感じていたものでした。
ですから、「古い体制をぶっ壊し、既得権益を引っ剥がし、日本の基本構造を『改革』する!」を叫ぶ首相に共感してしまった時期すらあったのです。


ところが、現在の私の頭の中は「なんとか日本的経営や労働意識の良さを取り戻さなければならん」という思いで一杯です。日本には日本の良さがあり、日本人には日本人なりの競争、協働、協力関係が似合っているし、グローバル化の流れの中でもその日本らしい部分は大いに意義を持ち、今後の世界の向かう方向に好影響をすら与える可能性もあると考えるようになっています。


市民革命の経験意識が無い日本人は、自国の自由とか市民の平等とか権利の確保とかについて自ら考える習慣があまり無いようです。
だから、大国からの押し付け哲学を簡単に信じてしまったり、平板な自由平等論にあこがれてしまったりするのでしょう。
年金の仕組みをどうするのかとか、税金の取られ方や遣われ方をどう監視するのか、労働者の権利をどう守るのかなどなど、我々一人一人の人生を少しでも楽しく充実したものにするために、社会の仕組みについてみんなが考えることが必要ですよね。


働き方、働かせ方は、社会全体の富の分配の仕組みと密接に関わる最も基本的な事柄です。
自由と平等について考え、日本と世界の平和を実現するためにも(大げさでなく)、まずは毎日の生活の基盤である「労働する」ことに関してだけでも自分の哲学を確認することから始めてはどうかと思うのです。