独立FPの独白ブログ

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『国家の罠』

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)


新聞やテレビの報道で自分の仕事の分野について取り上げられた時などに、皆さんはどのような感想を持ちますでしょうか?
私の場合は、金融、マネー情報、特に生命保険に関する記事や番組を見るたびに感じることは、残念ながら「やっぱり分かってないねえ」というものです。


かなりの精度で真実をあぶり出し核心に迫るものもあるにはありますが、そういう優秀なものは至極まれのように感じます。その分野の本当に大事なことについては結局分からず仕舞いであることがほとんどではないでしょうか。


そこで私が思うことは、我々一般庶民はとのように情報と向き合うべきなのかという問題です。
「世の中の出来事は新聞やテレビ、ラジオなどのマスコミを通じて知る以外に手段は無く、従って、我々はマスコミ情報をもって何かを判断してしまうしかない」ということについての恐怖です。


ジャーナリズムの使命とか、報道の正義だと言っても、要は我々と同じ普通に生きている人間がやっている一職業に過ぎないのだし、ジャーナリスト達も結局は会社や組織の命令で仕事をこなすサラリーマンだったりするのです。また、いかに強い正義感と使命感ともって仕事をしていたとしても、常に真実を知り、間違いなく人間を正しい方向に導いてくれる神の様な存在、などではまったくないのです。現場で起きていることは、実際にその中にいる人にしか本当のところはわからないものなのでしょう。


どうにも回りくどくなっていますが、物事の真相を知るのはいかに困難であるかということと、物事の真相を知らないでいることの重大さを思い知らされる本に出会ったことを言いたかったんです。背任容疑で有罪判決を受け現在も裁判中の外交官・佐藤勝氏の「国家の罠」を読んで、私は数年前に読んで驚嘆した「拒否できない日本」に順ずる驚きを感じたのです。


疑惑の総合商社」や「ムネオハウス」などがはやり言葉にもなって国民の非難を浴び、裁判では有罪判決を受けた鈴木宗男議員と外務省官僚の佐藤勝が、対ロシア外交のウラ舞台でどのような動きをしていたのか、当の佐藤勝氏の著書「国家の罠」に記されていることは私が初めて知ることばかりでした。


この一連の事件を国策捜査であると断言する著者によって語られる外交活動の実際や、取調べ担当の検事との詳細なやり取りは、まったく未知であった外交の世界の真実を少しだけ垣間見させてくれる大変貴重な書物でした。(本の中では検事自身も「これは国策捜査」でると語っているのです。)


国とはどういうものであるのか、国家と国家の交渉で実際にはどんなことが行われているのか、政治家や官僚に愛国心はあるのか、などあらゆる面で目からうろこの読み物でした。日本とアメリカの悲しい関係について知り、私の世界観を変えてしまった驚きの告発書「拒否できない日本」と並んで、この本は、国と個人の関係を見極めて生きたいと思う人には必読と思います。