独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

派生商品大国

米金融機関のサブプライム損失、最大18兆7000億円・米証券試算
 【ニューヨーク=財満大介】信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に絡む米主要金融機関の評価損が、最大で1750億ドル(18兆7000億円)に達するとの見通しを米証券大手ベアー・スターンズのアナリストが明らかにした。ロイター通信が11日報じた。(12日日経)


サブプライムローン問題の影響がアメリカ金融業界の中だけの問題に留まらず世界中に波紋を広げ続けています。
もともとはアメリカ金融界の乱暴な営業姿勢や節操の無いデリバティブ商品開発合戦の付けが回り回って、彼らが損失をこうむるだけのはずだったのに、彼らは無理な営業戦略が招くかも知れない悪いシナリオに対して、ちゃんとリスクヘッジをしていたようなのです。


低い所得のひとたちに対して、初めの時期だけの低い金利と、将来の不動産価額上昇の夢をえさにまんまと引きずりこんだだけでなく、彼らは自らにとっての最悪のシナリオに対しての対策をちゃんと講じていたのですから恐ろしい。
リスキーな貸付の返済請求権を小口に分けて証券化した投資商品としてあらゆる金融商品の中に小刻みに潜り込ませました。その結果、お付き合いした各国の金融機関もリスクヘッジのお役目が回ってきたわけです。


あの国の経済界は「なんでもかんでも商品化する」という特性をもっていますが、金融業界もその代表的な存在です。例えば保険の世界でも「医療保険の給付請求権」を証券化して投資商品として販売したり、死亡保険金受け取りの権利も生前に売買されてビジネスになっています。そもそも、基本的人権である生存権、健康を守る権利すらビジネスのために利用することに何のためらいも無いのです。(映画「シッコ」を見るべきです)
人間の臓器やあらゆる身体の部分も商売になるし、顔や経歴を売り買いしたり、つまり人間の生き死にや生活そのものも売り買いされることがあるわけです。


サブプライムローンの問題は、単なる経済不況問題なのではなく、今の地球においてジワジワと世界に拡散しつつある「アメリカ流資本主義の方法論」について、本当にそれで良いのかを真剣に考える必要性を全世界に突きつけていると考えるべきだと思うのです。


「生まれていない羊の子供を取引してはならない」というのはイスラム教の教えの一節です。イスラム原理主義者でなくとも、なんでも商品化してしまうアメリカ流よりも、地に脚をつけたこの考え方を支持する人は少なくないでしょう。実物経済が古臭く、物の無い取引の方がスマートで知的なな感じがしてしまうのも大きな勘違いだと思います。
どちらがまっとうな人間の姿勢であるか、さほど難しい問題ではないと思いますが・・・いかがですか? 


「何でもビジネス」のアメリカ流は、普通の球技である野球やバスケットボールをとてつもなくエキサイティングで楽しい娯楽に仕立ててくれていますが、同時に、普通の人間の普通の生活をとてつもなくリスクの多い落ち着かないものにしてしまっているのです。どうでしょう?  そう言えば、大統領選挙も大掛かりなイベント商品ですしねえ。