独立FPの独白ブログ

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■魑魅魍魎の金融市場!!

★米ゴールドマン・サックスが巨額利益 サブプライムで「逆張り」
 米国の低所得者向け高金利型住宅ローンサブプライムローン)の焦げ付き問題に絡み、大手金融機関が相次いで巨額の損失を出す中、米証券大手ゴールドマン・サックスが、同ローン関連の資産担保証券の急落を見込んだ「逆張り」投資で、1年間で40億ドル(約4500億円)近い巨額利益を上げていたことが14日、分かった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が報じた。
 ゴールドマンは、近く発表する決算で110億ドル以上の過去最高益を発表する見通しだという。しかし同紙は、ゴールドマンが相場下落を予測しながら同証券の販売を続けたため、結果的に顧客が多額の損失を被ったとして同社の姿勢に強い疑問を示している。
 同紙によると、ゴールドマンの担当部門のトレーダーらは、昨年末、サブプライム関連証券が下落する危険性を予測。今年初めから証券を売却し、相場下落後に買い戻して利ざやを稼ぐ手法の投資を始めた。金融市場が混乱した夏には、ゴールドマン自身も15億〜20億ドルの損失を出したが、「逆張り」による巨額利益がこれをカバーした。サブプライム問題の深刻化を予測したトレーダーらは巨額の報奨金を受け取るという。(14日共同通信


このニュースの意味が良く分からないという方は、当面株式投資などの資産運用はするべきではないでしょう。
市場が下げてしまうことで儲かるひとがいるということは、市場ではこうしたことがいつでも起こりうるからです。
そして、投資のリスクとは価格が下がってしまうことなのではなく、どのように動くかが予測不可能なことである、というリスクの本質を理解しない限りは投資はすべきではないでしょう。


ハイリスク・ハイリターンの金融商品にも様々なものがありますが、あえて乱暴に言うならば、どんなものでも投資対象とすることが可能であり、従って想像も付かないような投資ファンド商品が登場する可能性が常にあると言えます。
現在世界中の金融市場を巻き込んでの大混乱を作ってしまったアメリカのサブプライム・ローンの問題も、預貯金とかせいぜい株式投資信託、個人向け国債くらいまでしか認識していない我々一般人にとっては、まるで訳の分からないブラックボックス状態です。


住宅ローンを貸し出している金融機関がその債権を小口に分けて投資対象としてファンドを作り、そのファンドを小口に分けて新たにファンドに組み込む・・・とうように段階が進むにつれて元々のリスクが分かりにくくなり、結果としてこんなものに投資しているとはまったく承知していない投資家も世界中に沢山いるはずです。


そもそも「デリバティブ投資商品」というものの本質は、素人発言であえて言い切れば「実物を伴わない架空(理論上)の投資」と言えなくもないのです。デリバティブの価格は投資対象となっているもの自体がどんな価値があるのかということとは別に決まります。
価値は知らなくても、誰かに転売できる見込みさえあれば買う価値があるという訳です。言ってみればマルチ商法、連鎖販売と同じような面があるのです。
「こんな訳の分からないものを買う私はバカみたいだが、もっと高く買ってくれるよりバカな人がまだ沢山いるようだ」という心理がバブルを増幅させるという見方を、ある学者が「よりバカ理論」と名づけています。


また、デリバティブ投資の世界ではこのニュースのように、価格が下がることによって利益を得ることが可能です。ローン返済が滞り家を手放すことになった不幸な人々や、この債権を組み込んだファンドで損害を蒙る金融機関の犠牲のもとに結果的に莫大な利益を得る人たちが存在するということなのです。


私の感覚では金融工学の小難しい理屈などは別として、「ひとが困るとわたしが儲かる」という類の投資や運用は、決してマトモな経済行動とは言えないのではと思うのです。
兎にも角にも、どうもよく分からない、なんだか妙な感じだ、という金融商品には決して手を出すべきではないでしょう。