独立FPの独白ブログ

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■国民皆年金の幻想


すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
・・・言うまでもなく日本国憲法第25条生存権の規定です。
それを現実化する国の制度のひとつが年金や健康保険などの社会保険制度です。
「最後の1人、最後の1円まで年金を支払う」という、現実には無謀とも言える発言も国の立場では言わざるを得ないことなのでしょう。


★1975万件は本人特定困難=「宙に浮いた」年金記録で−社保庁
 基礎年金番号に統合されていない該当者不明の「宙に浮いた」年金記録が約5000万件に上る問題で、このうち約1975万件はコンピューター上での照合作業で本人を特定するのが困難であることが11日、社会保険庁の推計で分かった。膨大な数の未統合記録は今後、紙台帳と手作業で突き合わせることなどが必要になり、政府の対策が長期化するのは必至。「最後の1人、最後の1円まで年金を支払う」としてきた政府の公約の実現は、極めて難しい情勢となった。 (12日時事通信)


もともと、できるはずの無いことを勇ましく言い放ってみたり、そのくせ、かなりの形勢不利(と言うか絶対不可能)が表面化すると、すべて完了するなんて言ったことは無いとかわし始める。学者も政治家になると超理論的な言説を放つようになるのですね。まあ、理を通して成り立つ政治などこの世にはあり得ないのかも知れませんが・・・。


統合、判定が難しいという「4割」というのはかなり多いようではありますが年金や社会保険の世界ではさほど驚くほどでもありません。
国民年金では4割近くの加入者(国民)が保険料を払っておらず、厚生年金加入義務のある企業・事業所のうち3割がこれまた保険料未払い、国民健康保険加入世帯の2割が保険料を滞納しています。
すべての国民の健康で文化的な最低限の生活を保障する「国民皆年金」制度の実態はこういうことになっているのです。


社会保障や年金や税金や福祉政策など国民の生活に直結する問題が争点となり、そして外交政策や富の再分配の基本構造の方向性に大きく影響を及ぼす国政選挙であっても、4割近い人達は投票に行かない、というのがこの国の現実なんですから・・・「4割は駄目」程度で驚くことはないのです。