独立FPの独白ブログ

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■ピーター・ラブゼイへの帰還


ピーター・ラブゼイ(Peter Lovesey)は知る人ぞ知るイギリスの本格推理小説界を代表する巨匠の一人です。何度も推理小説の賞を受賞していますし、早川書房を中心に翻訳本も沢山出ています。


この作家のミステリを初めて読んだのは早川文庫の「偽のデュー警部」でした。
もう22年ほど前のことなのですが、「とてつもなく面白かった」という強烈な印象が今でも残っています。ストーリーもトリックもほとんど忘れているのですが、やたらと面白かったという印象が消えることはなく、その後、妻にも息子にも薦めて、みんなで楽しんだという実にコストパフォーマンスの高い文庫本となったのです。


その後、「キーストン警官」「マダム・タッソーがお待ちかね」「つなわたり」と続けて読みましたが、最初の「偽のデュー警部」があまりにも面白かったために、他のどの小説もその印象を超えることがなく、だんだんと遠のいてしまっていたのでした。
数年前に、この懐かしい、しかも強烈な印象の残る作家の新しい小説を読んでみたくなって警察小説のダイアモンド刑事シリーズ「最後の刑事」を読んだのですが、少々くどい感じの細かな風景描写、心象描写に違和感を覚え、どうもその世界には入ってゆけませんでした。


それでも、この作家は面白いはずなのだ、という観念が捨てきれずに最近またトライしてみたのが英国推理作家協会賞受賞作の「バースへの帰還」です。ストーリーの展開とは直接関係の無い人物描写や世相の紹介や世の中の出来事に関する個人的意見の開陳は、英国に行った事の無い日本人の私にとってはやはり少々重たかったですし、本の厚みもかなりのものでしたが、翻訳が大変上手だったこともあって、これはまずまず楽しむことが出来ました。


でも、やっぱり最近のこのシリーズはいかにも長いです。ひさし振りにもどって来たピーター・ラブゼイの世界、次はページ数の少ない「苦い林檎酒」にしようと決めているのです。


ラブゼイを未読の方には「バースへの帰還」よりもやはり「偽のデュー警部」がお奨めですが・・・・


バースへの帰還 (Hayakawa novels)

バースへの帰還 (Hayakawa novels)