独立FPの独白ブログ

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■説明の義務


★9月30日の「金融取引法」施行開始に伴って金融商品のリスクについての説明と、消費者側の理解の確認を徹底するための措置が取られることになりました。例えば生命保険業界では「外貨建て商品」や「変額商品」について株式、投資信託などと同等に扱われます。
前回も書いたように「きちんと説明されるのがごく当たり前のことであり、またそれを理解しないでは絶対に契約するべきでない」これらのことが法律の制定なしでは実行されないという業界に対しては、怒りを通り越し悲しさを感じてしまう今日この頃です。


★10月1日、金融商品取引法の施行の翌日にはいよいよ郵政民営化が実行されました。
民営化によって不採算事業が見直され、儲からないサービスからの撤退や効率化推進によるサービス低下など、今になって色々な弊害の可能性が語られ始めていますが、全ては民営化には必ずついて回るはずの、はじめから想定された事柄です。


2年前の小泉ワンフレーズ政治の流れを多くの国民が指示してしまった結果なのですから、おとなしく受け入れるしかないのです。(私は支持していませんが・・・)あまりに単純化されて語られた「改革」の裏側には非常に多くの問題点や利権争いが存在しますが、もう民営化を元に戻すことは不可能でしょう。後戻りはできないにしろ、今後の推移については「もう騙されない」の意気込みで監視してゆくしかありません。


民営化と平行して郵便局では、売り上げを増大させて競争を勝ち抜くために、投資信託を販売し、自動車保険を販売し、簡保の安心イメージを武器にした生命保険商品など、今後も金融商品の販売を増やしてゆくことでしょう。地方の採算の良くない郵便局はその生き残りのためにこれら金融商品を必死になって販売するようになるでしょう。お年寄りは「年金受給の身近な窓口を確保するためには、投資信託を買わねばならなくなる」なんてことにならねば良いのですが・・・。
売る側はお願いセールスではなく、「きちんとした説明」によって必要なものだけを販売するべきですし、消費者側はその説明によって完全な理解を得てから選択して頂きたいと思うのです。


思うに日本という国は「説明責任」というものがどうも適当に軽く扱われてきた伝統があるような気がします。
役所は市民の疑問に対しても「決まりですから」と説明を打ち切り、医師は素人である患者には治療方針を説明せず、相撲協会のトップは最上位力士の不祥事の説明をせず、政治家は金に関する出所や使い道について説明せず・・・・というような具合に、あらゆる分野、多くの場面で、ちゃんと説明しないことが文化、のようなことになってしまっているようです。


いちいち説明するなど権威に傷がつくことという意識もありそうです。なんでもかんでも説明できると思い込む合理主義的感覚もどうかと思いますが、あまりにもイイカゲンに曖昧に済ませてきた、日本人の悪い面がここへきてじわりじわりとオモテに出てきているように感じますね。


様々な業界、分野で次々に不祥事が発覚し、その後の説明経緯に見える不誠実さを、これでもかとばかり見せ付けられたためか、さすがに社会にはこれをナントカしなければという気運が出てきているようにも思えます。
金融商品取引法の施行、郵政の民営化、もうすぐ始まる銀行の生命保険販売全面解禁などの流れの中で、消費者は説明を求める権利を自覚し、説明責任を果たせない者を相手にしない姿勢でより良い選択をして頂きたいものです。
そして我々FPも「賢い消費者」を増やすために的確な情報提供をしてゆきたいと思うのです。