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■金融商品取引法施行


9月30日より「金融商品取引法」が施行開始となりました。
運用成果が変動したり元本割れの可能性があるなどの所謂リスク商品、投資関連金融商品(株式、債券、投資信託など)がその対象となりますが、生命保険のなかでもこういった投資商品に近い性格を持ったものが同様の扱いを受けることになります。変額年金、変額保険や外貨建て生命保険などが該当することになります。


保険業界においては不払い問題や不適切な販売などへの対処の一環として、保険商品の正確な説明によって顧客サイドの十分な理解を促すべく、今年から加入意向確認の徹底が義務付けられてきたこともあって、最近色々と契約時の必要書類が増えています。


数年前なら1枚の申込書へのサイン、捺印だけだったものが、今ではそれに加えて、加入意向確認書のサイン、重要事項説明を受けた確認のサイン、変額保険なら専用の内容確認書へのサイン、などが必要となり、申し込み書類関連の手続きだけでも結構時間が掛かります。このように、あれこれと書類が増えてきたということは、実はこれまでが如何にいい加減だったかの証明でもあると言えるでしょう。


投資商品に元本割れのリスクがあるのは当たり前のことであり、販売をする者はまずはそのリスクの存在とその性格の説明から始めるべきものですから、今更のように確認の書類が必要になること自体が本当はおかしな話なのです。金融業界(特に営業現場)の世界の軽さを再確認させられる思いです。


しかし、どんなにこうした書類が多くなろうとも、実際の販売現場では「ご面倒ですが一応手続きなんでサインお願いします」などと言ってろくに説明もせずに販売してしまうということが横行しそうな気もします。これらの書類にサイン、捺印が残れば、会社側は「説明しました」と言えるわけで、場合によっては消費者保護というよりも金融機関を保護する結果となるかもしれません。


やはり大切なお金を投入する商品の契約に際しては自己責任の重みを感じつつ、キチンとした説明を求め、充分に理解した上で選択するべし、というしかありません。「自由」とはリスクの中に飛び込んでゆくことでもあるのです。