独立FPの独白ブログ

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■市場原理主義のハイリスクハイリターン

◆日産、役員賞与ゼロに 昨夏は1人平均で9750万円 (6月09日 朝日)

日産自動車は、常勤取締役に支払う賞与(ボーナス)をこの夏は支給しないことを決めた。07年3月期連結決算がカルロス・ゴーン社長体制になって初の営業減益となり、「コミットメント」(必達目標)1年先送りのけじめをつけた。
役員賞与は前の期の業績に基づいて金額を決め、株主総会の承認を経て、総会終了後に支払われる。昨夏は06年3月期連結決算が最高益を更新したのを受け、ゴーン社長をはじめ常勤取締役4人に計3億9000万円(1人平均9750万円)が支払われた。だが、20日に開かれる今年の株主総会では、役員賞与の支給を提案しない。これとは別に、役員退職慰労金の廃止も提案する。
 それでも、賞与とは別に取締役9人が昨年度1年間に受け取った役員報酬は総額25億1800万円。トヨタ自動車の取締役26人と監査役7人が受け取った15億200万円を大きく上回る。


この記事は労働報酬の世界にも持ち込まれた市場原理主義、実績成果主義のハイリスク・ハイリターンの現実を如実に見せ付けている、大変に判りやすいニュースです。企業経営者といえども経営という業務について会社と契約する労働者なのであって、成果が無ければ報酬もないということを明確に示しているわけですね。


ゴーンさんは不振が続いた日産の再生に乗り込んできて、バッタバッタと従業員を切り、工場を閉鎖、移転し、激しくリストラクチャリングを繰り広げ、大きく業績回復を達成して巨額の報酬を受け取りました。
しかし、目標達成しなければボーナスゼロも辞さないという、欧米流経営者の世界はなんとも激しい世界です。
とはいえ、それでも、役員一人当たりの報酬は世界トップクラス企業でもあるトヨタの4倍以上なのですね。こちらにもビックリですが、これが先進資本主義国流なのでしょうか。


良いときもそれなり、悪いときもそれなりにという、あいまいなあやふやな日本的な報酬体系について、私は大いに疑問を感じたこともあったのですが、現実に成果報酬の世界に身を置いてみて感じることは、やはり依然とは少し異なります。なんでもかんでも、理詰めで合理的で明確であることは必ずしも人間の知恵の成果であることは限らない、というように近頃思うようになってきました。近いうちにこのことはじっくり書いてみようかなと思っています。