読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

■即もう一回読みたくなった

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)



「本格」というと皆さんは何を思い浮かべるでしょう? 今日優勝を決めた早稲田の斉藤投手のような上手投げ速球派のピッチャーを本格派投手などといいますが、私がすぐに思い起こすものは「本格焼酎」および「本格推理」なんです。


推理小説本来の面白さを純粋に追求した作品(本格推理小説)を復興させようという、所謂「新本格ムーブメント」といわれるミステリ界の動きが1980年代後半に起こりました。推理小説と銘打ちながらも社会問題への言及などを中心に据えた所謂「社会派推理」がもてはやされて、私立探偵の謎解きや、結末でのどんでん返しなどが中心の小説が軽んじられる傾向が続きましたが、それに反発して純粋なエンターテインメントとしての推理小説にもっと光を当てようというものでした。


その流れの中で登場してきた本格推理小説の作家には、有栖川有栖折原一我孫子武丸貫井徳郎法月綸太郎森博嗣柄刀一北村薫など錚々たる作家さんが名を連ねていますが、その中に歌野晶午氏はいたのです。コッテコテの謎解き小説「長い家の殺人」や「動く家の殺人」、読者をズルズル引き回す「さらわれたい女」など少々乱暴だったり若干無理やりな感じも否めないこともある、でも面白い本格推理小説を数冊読んだのは思い起こせばもう6、7年も前のことなのでした。


その歌野晶午氏が2004年に日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞、「このミス」第一位など多くの賞を受賞したニュースを聞いたときは、自分が見つけた新人が大成功したかのような奇妙な錯覚もあり、うれしく思ったものでした。(3冊くらいしか読んでいないので大きな声では言いません)
その受賞作が文庫になったのでさっそく買ってきて読みました。


徹夜の一期読みとは行きませんでしたが、2、3日でダレルことなく読破しました。
読み始めのしばらくは一体主題は何だろうと疑いつつもすぐに物語りに引き込まれ、途中は先の展開が大いに気になりワクワクし、過去の回想と現在とがどのように繋がってくるのかを楽しみに思いつつ、最後は「えええええ」と完全にだまされたことを知り、やたらと長い題名にも納得しつつ思わず最初のページに戻ってはしばらく読み返したりしたものです。(確かに2回読みたくなります)


だまされた仕掛けに関しては「なんとなく思い込んでいたあること」に関して、自分の偏見というのか偏狭な感覚を反省させられる側面も感じられたので、素直に「参った」といえるのでした。悪徳商法の実態を勉強するネタにもなりそうですし、面白かったです。単行本はかなりの大きさ厚さで読む気になりませんでしたが、文庫ではお手ごろな大きさに収まりました。
ミステリファンの方なら「買い」です。