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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

■保険商品簡素化の流れ

三井住友海上、個人向け保険商品を8割減へ
 三井住友海上火災保険は2日、2008年度末までに個人向け保険商品を現在より8割少ない15程度に減らすと発表した。主契約に上乗せする「特約」も半分の約700に減らす。似た補償内容や需要の少ない商品を統廃合する。保険金支払い漏れは商品の複雑化が一因のため、簡素化する。
 自動車保険は4から3に、火災保険は5から1か2に、傷害保険を59から10程度に減らす。例えば個人で入る「普通傷害保険」と、家族で入る「家族傷害保険」は一本化する。特約は自動車が125を60程度、傷害は1100を500―600などとする。保険金を払う期間を通常の半年から1年に延ばす傷害保険の「入院延長特約」などを廃止する。
 また商品ごとに別々の商品管理システムを08年4月に統合する。自動車保険と火災保険で似た特約を開発するといった事態を防ぎ、商品の複雑化を抑える。大手損保では東京海上日動火災保険も商品や特約の数を大幅に減らす計画で、簡素化の動きが広がっている。 (2日 読売新聞より)


これはなかなか良いニュースだと思います。なかなかの斬新な思い切った改善策ではないかと思うのです。
生保オンリーであった私の業務に損害保険を加えてしばらく経ってから、損保業界の特性として特に感じたことのひとつに、「あまりにも特約が多すぎて商品の内容をキチンと理解しがたい状況」であることがありました。
また、顧客との綿密な打ち合わせを通じて保障内容を決めてゆくというプロセスを省略するために、あらかじめ複数の保障を組み合わせた所謂セット商品を用意して、販売しやすくしているようにも思いました。
いくつかの保障をセットしてひとつの商品として作り、そのパンフレットの説明だけで済むように、要するに販売しやすくする工夫がなされてきたのだと感じます。(ちなみに私が所属していたS生命では所謂セット商品はひとつもなく、お客さんと一つ一つの保障について話し合いつつ組み立てて行くのが基本です)


たとえば自動車保険ひとつとってみても、その特約の多さは驚くばかりです。
普通に販売されている普通の自動車保険商品の約款で確認したところ、標準的な自動車保険に「自動付帯されている」特約の数が15種類。そして、任意に付帯することができる(つまり選択できる)特約がなんと68種類もあります。
68種類もある特約のそれぞれについての内容や必要性などについてキチンと説明して契約者に理解してもらい、適切な判断の元に適正な契約内容にすること・・・そんなことが実際にできるものでしょうか?


あまりの選択肢の多さから、自動車保険は複雑怪奇なお化けのような商品と化し、結果として充分な理解なくしての契約が生じたり、補償内容をきちんと把握しない契約者、代理店の存在が現実となるのです。
契約者が把握できず、代理店も把握できておらず、おまけに保険会社までもがその契約内容を把握しきれずに、結果として保険金不払いなどの問題に繋がっているのです。


商品の内容そのものの質で勝負するのではなく、たとえばそのイメージで、或いは販売員の粘りで、或いは安さで、或いは数年後の返還金のお得感で、つまり枝葉の部分だけでの販売競争が長年続いてきたために本質的な部分の競争がなされなかったという、あきらかに本末転倒な競争図式を続けてきたという点では、損害保険も生命保険も変わらぬ印象です。


ここ数年の度重なる問題の発覚と繰り返された行政処分の結果として、多少なりとも、これからの保険業界の競争の基準が「顧客に役立つこと」になってゆけば良いのですが。それにしても、傷害保険の特約が1100あるというのは、一体どういうことなんでしょうね。すべてを羅列できるひとなど皆無なのでしょう。まことに不可思議な業界常識です。