独立FPの独白ブログ

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■簡易投信?

投信販売残高、6000億円突破・郵政公社
 日本郵政公社は1日、1月末の投資信託の販売残高(純資産残高)が前月末比10.4%増の6202億円になったと発表した。2005年10月に販売を始めて以来、初めて6000億円を超えた。上位の地方銀行の残高並みの規模に膨らんでいる。個人の運用意欲が高まっており、郵便貯金などから投信に資金が流れているとの見方もある。
 純資産残高が最も大きいのは野村アセットマネジメントの「野村世界六資産分散投信分配コース」で2982億円と全体の約半分を占めた。国内外の債券を重視した安定運用で、隔月で分配金を受け取れるのが特徴。次に多いのは毎月分配金を受け取れる日興アセットマネジメントの「日興五大陸債券ファンド」の1310億円で、全体の約2割を占めた。(23:25)

このニュース記事では「最も売れている投信と2番目に売れている投信の特長として「隔月で、あるいは毎月分配金が受け取れる・・・」とサラリと書いてありますが、定期分配型というのはその分を再投資に回せば得られるはずの収益を放棄しているという見方もできるのです。そうした説明を聞いた上での選択であるのかどうか、ここが問題です。毎月小遣いをもらうための投資なのか、老後資金など長期資金運用のための投資なのか、要は目的と手段との適合性の問題なのです。


いづれにしても、近頃は郵便局にゆくとウグイスをした投資信託のパンフレットが処狭しと置いてあります。しかもそのパンフレットは高齢者を意識してか文字も大き目で、なにやらほんわかムードのイラスト満載の説明書き、かつ分厚い丈夫な紙で出来ていて、なんともお金が掛かっている雰囲気です。


郵政民営化法案が成立してしまったこともあり、各地の郵便局は今後の生き残りのために収益獲得競争モードに完全に突入しているのかもしれません。投資信託はとりあえず売るたびに販売手数料が入るのですから、即売り上げアップということになるのでしょうか。おそらく郵貯や簡保が満期を迎えた顧客に対して猛烈な売り込みをかけている事でしょう。(あの世界の販売ノルマは昔からかなりのものらしいですから)


顧客の側は投資・運用リテラシーが高いとは到底思えないお年寄りを含めた普通の庶民が、前から世話になっている郵便局の○○さんが家に来るたびに勧めるんだから、まず大丈夫なんだろうなどという根拠のない安心感と、本当に投資信託が必要なのかという吟味も無く、銀行に預けておくよりはましという単なるイメージのみで購入してしまうひとが結構いるのではないかと邪推します。
まあ、自分のお金をどう使おうと当然自由ですし、結局すべては自己責任ということなのですから何でもいいですが。


それにしても、ほんの少し前まで確定商品の簡易保険だけを売っていた人達が、あっと言う間に株式投資信託の販売に乗り出し、それがどんどん売れてしまうのだというのなら、リスク商品の裏表を知り尽くし、投資ノウハウと高度な運用知識を有するプロ集団であるはずの証券会社のセールスマンの存在意義はいったいなんだったのでしょうか。なんだか情けなくなりますね。


郵便屋さんが投信を売り、自動車保険を売る。銀行マンが投信を売り、生命保険を売る。これを称して金融ビッグバンとか金融自由化とかいうらしいのですが、はたしてこの動きが本当に消費者の利便性に繋がっているものなのでしょうか?


ま、嫌なら買わなければいいことなんですから、余計なお世話ですよね、結局。失礼しました!!!