独立FPの独白ブログ

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■管理職って誰?

ホワイトカラーの労働時間規制除外、労基法改正案へ
 管理職一歩手前のホワイトカラー(事務職)のサラリーマンについて、厚生労働省は27日、1日8時間、週40時間の法定労働時間規制から除外する「自由度の高い労働時間制」(日本版ホワイトカラーエグゼンプション)を、労働基準法改正案に盛り込むことを決めた。
(読売新聞)


従来から管理職については残業代は無しという会社は多いですよね。(私の前職もそうでした)
しかし、労働基準法では労働時間などの制限に関して「役職名に関わらず、労務管理などに関して経営者と一体的な立場になる者」については適用除外できるとしているのであって、部長や課長には残業代無しでよろしいという訳ではないのです。


管理職といっても、現実の会社において経営者と一体的な立場にあるような部長さんや課長さんがイッタイどれだけいるのでしょう。実際には経営者から命令されて動くだけの立場(つまり実質的には管理されている労働者)なのに○○長という役職名が付いていることを理由に、残業代を支払われていないのが実態ではないかと思いますが、皆さんの会社ではどうですか?


労働基準法を少し勉強すると、実態との大いなる乖離に驚くばかりです。結局雇われているものは雇い主には強く言えないという従属関係で物事が決まってしまうのが実情でしょう。
本来労働者を使用者の横暴から守るのが目的の労働基準法ですが、それを熟知しているのは経営者(使用者)なのであって、権利を主張する側の労働者はあまり知らないのが実態ではないかと思います。


このたびの改正の対象とされるは自由度の高い労働者だそうですが、本当に自由度の高いサラリーマンがそんなに沢山いるとは思えず、結局のところは使用する側の都合の良いように解釈されるのではないでしょうか。つまり、使用者のコストをできるだけ抑えられるような方向にこの法律が利用されるのであって労働者には不利に働くばかりなのではないかと危惧します。
派遣労働法などの現場解釈をみればそうした危惧は決して大袈裟ではありません。


我が国の人権意識の低さに背筋が寒くなることも多いですし、雇用主、使用人の関係などは、いまだに士農工商…の感覚から抜け出していないような気さえします。(これを称して「近代化未成立」と言われます)
ほんの束の間かもしれませんが、労働力不足で企業が人材を求めているこの数年は、少しでも良い条件を得られるチャンスだと思うのです。
しかし毎度の話しながら、市民が政治に参加しない没民主主義の国としては、それもなかなか難しいのでしょうか。