独立FPの独白ブログ

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■時間と人生

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)

北村薫というひとを初めて知ったのは、国産本格ミステリをもっと知ろうとあれこれ読み始めた数年前でした。初めて読んだのは春桜亭円紫という落語家が事件の謎を解き明かすシリーズものの短編集でしたが、そのマッタリした作風は、当時私が求めていた「ガツンと来る推理小説」からはほど遠いイメージだったので他の北村作品を読むまでには至りませんでした。


年末の慌ただしさと1年のあまりの短さに「時間の不思議」を感じていたこともあって、「時間と人生の謎」がテーマだという北村薫氏3部作のうち、なんとなく惹かれた「ターン」を読んでみたのがつい先日です。
現代もののミステリばかり読んでいる最近の私としては、物語の進行のゆっくりさにいささか焦れる面もありましたが、主人公が突然迷い込んだ時間のスキマ世界の異常さにもすぐに溶け込み、これからどうなるのかとどんどん引き込まれて行きました。
結末などには触れませんが、読み終えてしっとりとした安堵感というか抑え気味な爽快感を感じたました。
また、自分の未来を明るくするには時間に縛られず、時間をうまく取り込むというのか時間と上手に付き合ってゆくことが大切と実感した物語でした。


近いうちに、時間の3部作はすべて読むことになりそうです。