独立FPの独白ブログ

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■労働者の皆さん!!

日本ではあらゆる世界で「偽装」が横行しているようですが、最近いくたびか摘発された「偽装請負契約」の事件で思うことがあります。


数年前に社会保険労務士資格の試験勉強をしてのですが、かなり本気で勉強した4回目の試験では合格ラインギリギリまでこぎつけたものの(何の自慢にもなりませんが、自己採点であと1点・・・)その後も下がり続ける合格率に恐れをなしてギブアップ、今ではすっかり諦めています。
出題対象となる社会保険や労働法関連の中で滅法複雑で分かりにくかったのはダントツで「厚生年金法」だったのですが、他方最も身近な法律として興味深く、しかも現実との乖離を思い知らされて驚いたのは「労働基準法」でした。
組織に所属するしないに関わらずなんらかの指揮、命令によって仕事をする立場であれば誰でもが労働者と見做されてこの労働基準法の適用対象となります。まして、サラリーマンだった私は正真正銘の労働者だったわけだし、私の上司も先輩もみんな労働者だったのです。


労働基準法の基本的な目的は労働者の人権、安全、生活を守ることであり、労働者を使用管理する雇用主には様々な義務が課されますし多くの規制があります。その義務や規制は当然経営コストに反映されるものばかりであり、したがって、経営者(使用者)はコスト削減と労働者の権利擁護の間でつねに葛藤を強いられるわけです。残業とか休日出勤などは時間外労働として賃金に加算されるべき最低水準が明確に決められていることを労働基準法を勉強して初めて知りました。
サラリーマン時代を思い起こすと、あのときのあの仕事で休日賃金を貰っていなかったのは何故だったのかなど、あきらかに会社の違法行為と思われる出来事が色々と思い出されるのです。


近頃いくつかの訴訟で企業が敗訴しているサービス残業の問題など、実際は今に始まったことではありませんよね。皆さんの周りでも日常茶飯事であることでしょう。
また、管理職に残業代が適用されないなども、本当はおかしいのです。
時間外労働の賃金割り増しなどの規定が適用されない「管理職」とは「労働条件の決定など労務管理について経営者と一体の立場にあるもの」という定義です。所謂課長さん達が管理職だからという理由で残業代が出ないなどは、本当は労働基準法違反であるケースが殆どではないかとさえ思われます。


さて、労働者の使用者である企業経営者は、コストを削減するためには手段を選びません。法の網をかいくぐってはコストを減らすことに地道を上げているようで労働基準法の適用外となる様々な方法を模索します。実際には正社員同様にこき使っているのに正社員契約をせずにパートタイマー扱いにする、一定の要件に該当するのに社会保険適用をしないままでいる、人材派遣会社から派遣された労働者を長期間にわたって使用する、実質は雇用する社員なのに請負契約であるように細工をする、などなど、日本はいまだ近代化していない中世ではないかと言いたくなるほどの労働環境に目を覆いたくなりますね。
また、経営者の「うまく使いたい」要望をきめ細かく察知して、法の網の目をくぐって色々な方策を提案する人材派遣会社は「大昔の人買い」と変わらぬ無法ぶりだったりします。


すべての働く人々は、国民と国家との基本的な関係を規定する「憲法」と、労働者の権利や使用者の義務を規定する「労働基準法」くらいは勉強するべきです。一般の労働者が、一般市民がそれぞれの個人個人の権利と義務を自覚することからリスタートしなければ、普通の市民生活がじわじわと締め付けられてゆき、普通の暮らしが日ごとに窮屈になってゆく日本の現状を止めることはできないでしょう。
かく言うこの私も、社労士と行政書士の試験勉強をかじった結果として、結構いい年になってからこれらの法律を読んだのですから偉そうにはいえないのですが。いつも言うように無知は罪だと思うのです。


ところで神奈川、大阪の補選選挙区の皆さん、昨日投票に行きましたか?