独立FPの独白ブログ

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■保険金不払い拡大

【損保6社の保険金不払い、26万件・162億円に】
 東京海上日動火災保険など損害保険大手6社は29日、自動車保険に付加する代車費用や見舞金など特約を中心とした保険金不払いの再調査結果を一斉に公表した。 新たに判明した不払いは6社合計で9万8390件で、既に判明している分と合わせると、不払いは計約26万件、不払い総額は約162億円に達した。
 再調査で不払い件数が大きく膨れ上がったことで、各社トップの経営責任を問う声も強まっており、金融庁行政処分に踏み切るのは確実となった。
 過去3年間を対象とした昨年秋の前回調査時と比べ、不払い件数が最も増えたのは最大手の東京海上日動で、4万5380件だった。あいおい損害保険も3万9139件増え、両社とも、累計の不払い件数は6万件を超えた。日本興亜損害保険も約1万件の追加不払いが判明した。
 東京海上日動の石原邦夫社長は29日の記者会見で、自らを含む役職員の処分に踏み切る考えを表明した。あいおい損保の児玉正之社長は「まだ調査すべき事案が残っており、調査を続けている」と、不払い件数がさらに増える可能性も示した。
(2006年9月29日21時30分 読売新聞)


・・・損害保険の不払(支払い漏れ)問題でついに最大手保険会社からも更に多くのミスが報告されました。
私はあえて「ミス」といっておきますが、一般消費者の方々のなかには、「できるだけ払わないようにしてるんじゃないの?」という疑念をお持ちの方も多いことでしょう。
昨年の生保の不当不払事件から始まって、引き続いて大手損害保険会社の全社にわたって、これだけ多くの不払いが発覚したのでは、これは単なるミスというよりも業界の方向性なのではと感じるのがむしろ普通の感覚かもしれません。


しかし保険代理店の私としては、日頃業務で関わっている人達が、非常に真面目な善良な人達であり、「払わないようにしようとしている」などという感覚を覚えた経験は一切ありません。むしろ、事故などが起きた時には、できるだけお客さんに満足してもらう良いチャンスとの観点から「なるべく払いたいと思う傾向」すらあるのが現実です。(私の周りの人だけなのかもしれないし、他の会社のことは全く分かりません)
聞くところころによると、保険金支払いに関して昔から「渋い」といわれている保険会社もあるようですし、業績確保のために役員が支払いの抑制を暗に下命したこともあるなどというウワサを聞いたこともあるのです。(単なるウワサですが)


それにしても、損害保険協会の会長の会見で「競争の激化や自由化の流れから商品が複雑化していて、保険会社としても保障内容を十分に把握できていないことも背景にある」というコメントが出されたようです。とうとうそんなことまで白状してしまったのかと、なんとも情けない感じです。
保険会社が、保険契約の内容を把握しきれない状況っていうのは一体どういうことでしょう。そんなこと許されていいのでしょうか。


まあ、護送船団方式といわれた横並びのなあなあ経営で、それでいて社員の給料もかなり高く、結構エリート意識を持つものも少なくない業界ですし(会社によって差異あり)、色々な面で甘い体質の業界であると言われても反論の余地はないのが現状でしょう。


一連の報道を受けて代理店の私としては、これまで以上に「契約者の代理人」の立場を鮮明にして、お客さんの利益を代表し、お客さんの権利を守るための代理店というコンセプトでますます頑張ってゆく立場にあると再認識する次第です。


代理店や営業拠点が間に入っていてもこんな調子なのですから、そういう仲介機能を徹底排除した通信販売、ネット契約の保険はどうなっているのでしょう。そう思うと、保険の通信販売が認められている理由がまたもや分からなくなって来ると感じるのは、私だけでしょうか?