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独立FPの独白ブログ

この世界を少しでも美しい姿で後世に引き継ぎたい!

■資本主義の本質

大学1年生の必須科目のひとつに経済原論がありました。この講義について記憶していることは、微分積分の数学知識、標準偏差などの統計知識の基本すら理解できていない純文科系の私には、理論経済学は理解不可能だという挫折感のみでありました。また、もうひとつ、これは確か選択科目で「金融経済学」という講義がありましたが、こちらもなんとも言いようの無いほどのつまらなさで(理解できない、興味が沸かない)何も身に付けることが出来ませんでした。


それ以来、経済学という言葉に対して大いなる畏怖と違和感を感じ続け、経済学の本をちゃんと読んだ記憶がありません。2年生のとき社会学(システム論)の教授がその行動科学概論講義の冒頭で述べた「古典的経済学は海図なき絶海に浮かぶ孤島である」との言葉に大いに勇気付けられ、経済学など分かる必要は無いんじゃあと居直ってしまった私でした。


サラリーマン時代には「営業マンには日本経済新聞が必須」という強迫観念から定期購読していた時期があったものの、おそらく記事の半分くらいしか理解できず、「オレは経済の原理原則が分かっていない」という劣等感から開放されることはありませんでした。
転職してファイナンシャル・プランナーナーの肩書きを名刺に冠するようになってからも、「経済の原則」についてはとりあえずスキップして考えていたようなところがあります。


ライフプランニングを考える際に、或いは資産運用の相談を受ける際に、やはりどうしてもこの劣等感は払拭しておく必要があると感じ、ベストセラーとなった中谷巌著「痛快!経済学」とか「いやでも分かる経済学」などの柔らかい本ばかりですが、少しづつ経済関連本を読むようになりました。
資本主義経済の基本的な仕組みとか政治思想との関わりとかマクロの動きと家計との関係とかをすこしずづ理解するようになったのが、50歳に近くなってからというなんとも情けない実情なのです。


そんな私がFPとして資産運用について、投資についてアドバイスをする立場になり、どうしても必要を感じるようになったのが、「資本主義世界の今後の展望」です。資本主義経済の世界への浸透と拡大が今後本当に継続するのか、株式投資市場は永続的に成長するのかなど、根本的なことについて考えたいと思っていた矢先に出合ったのが、経済学者:岩井克人氏のエッセイ集『 二十一世紀の資本主義論 』でした。


資本主義経済の根幹を担っている「通貨」は通貨自体が通貨であると認識さていることによってのみ通貨として機能しているのだという説明から始まり、貨幣自体が一種のバブルであるという見方や、ドルという世界通貨がコントロールするグローバル資本主義経済に内在する矛盾や宿命について、知的好奇心をくすぐられつつ、理論展開に挫折することもなく、楽しく読むことができました。
経済学者の書いたエッセイ集の形をとっている書物ですが、本格的な理論書の一面も有しています。
冒頭100ページ弱の「 二十一世紀の資本主義論」だけでも読む価値があると信じます。

二十一世紀の資本主義論 (ちくま学芸文庫)

二十一世紀の資本主義論 (ちくま学芸文庫)