独立FPの独白ブログ

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■自分年金のつくりかた ①

  • 年金と言ったって普通にお金ですよ!

年金という言葉にはどうやら魔法の力が潜んでいるようです。
少子高齢化の進行に伴い公的年金の財政状況の危機が一般に言われるようになり、とくに詳しく勉強している人でなくても、老後を国の年金だけで暮らしてゆくのはどうも難しいらしいと仰る方が増えています。


一方、長い不景気の後の所得格差の拡大傾向や労働環境の変化などから、収入の安定的上昇があまり見込めなくなっていることもあり、老後資金のために振り向ける資金の余裕がなく、なんとかしなければという気ばかり焦り、現実には何も手をつけていないというのが一般的状況ではないかと思われます。(最近のアンケート結果にもそんな空気が明確に見て取れます)


老後に不安を抱きつつも、何もしていないという焦りの状態にあるため、年金という言葉の響きには、ついつい吸い寄せられてしまうという人も少なくなさそうです。
また、最近は所謂団塊世代の方々が大量に定年を迎えつつあるため、その人々の退職金という巨額のマネーを狙って、各金融会社はこぞってこれをターゲットにした商品を次々と繰り出していますので、ますます年金商品市場が拡大する傾向にあるようです。


さて、そこで、FPとしてそれらの年金商品を冷静に見てみようと思います。


先ずはじめに私が強調したいのは、年金が老後の生活を保証してくれる幸せ製造システムであるかのような幻想(或いは勘違い)を持ってはならないということです。
年金と言う商品を、老後資金を自動的に生み出してくれる打ち出の小槌のようなものと錯覚してはいけないのです。
そんなこと誰だって分かっている、とお思いかも知れませんが、年金と名前がついているだけで、その内容の詳細を充分に理解しないまま年金商品を購入してしまい、あとで消費者センターなどに駆け込むお年寄りが増えている実態を知れば、笑い事では無いと気付きます。


貯めておいたお金を全て遣ってしまうのでなく、毎年少額ずつ(具体的には毎月或いは数ヶ月ごとに)受け取ってゆく、これが年金です。5年で受け取る、10年で受け取る、或いは死ぬまで受け取る・・・受け取り方には色々な方式がありますが、基本はこういうことです。
仮に貯まったお金が1千万ある場合に、それを10年確定年金で受け取れば毎年最低100万円が受け取れますが、通常は年金原資を保有している金融会社はこれを運用して得られる利息があるため、受け取る人にも一定の利息がプラスされ、結果として年金額が100万円より多い金額となります。


バブル崩壊直前期に一般的な預貯金が6%だった頃、仮に5千万円を年金商品に預けておけば、金利だけでも300万円以上なのですから、月額25万円の年金を何年受け取っても元金が減らない、などという今では夢のようなことも普通に起きていたわけです。
金利が付くかどうかは別として、年金と言うものは現金を一度に受け取らずに毎年一定額づつ分割して受け取るというだけのこと、という認識を初めにしておいて欲しいと思います。


お金を沢山持っている人なら、それを少しづつ遣えば、年金と同じなのですから、相続対策上必要な場合などを除いて、わざわざあらためて年金商品を持つ必要などないのです。
よくわからない年金商品に手を出さないために、年金は単なるお金であるということから出発するのが健全です。


なお、国民年金や厚生年金は自分が年金原資を貯めて、それを受け取るというのとは全く別次元の国の制度です。
一定条件を満たした人が毎年一定額を死ぬまで受け取るので、分類すれば終身年金であるのですが、その年金原資を一度にくださいと言っても、それは絶対に叶いません。公的年金は国が社会保障制度として国民から集めた保険料と企業から集めた保険料及び税金などから廻ってくる財政資金から支給しているのです。
国民年金を払っても払った分だけもらえるかどうか分かんないから、払わないなどという人がいますが、そういう人は公的年金制度のそもそもの成り立ちを理解していないということです。


これから話題にする年金はあくまでも自分であらたに作る自分のための年金です。
これらを区別することからスタートしましょう。