独立FPの独白ブログ

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■天童荒太を初体験


これが、天童荒太氏の文学賞受賞経歴ですが、なんだか本を出すたびに何かを受賞しているという感じです。凄い作家なのだろうとずっと気になってはいたのですが、なにしろ「家族狩り」も「永遠の仔」もどちらも5分冊という大長編ですので、なかなか手が出せずにいたものです。
(いつも言うように私は大変に遅読なものですから・・・)


最近4冊続けて翻訳本(海外ミステリ)を読んで、その文章のぎこちなさに少々疲れておりました。
きちんとした日本語の文章のミステリをジックリ読んで見たいと思って、これならと選んでみたのが『孤独の歌声』でした。
全編にわたって流れる「孤独と向き合う人間の宿命」が心に響き続けます。
まさに孤独の歌声を感じる、淋しく悲しく辛い物語です。
しかし、「本質的に孤独だからこそ愛し合うことを求める」人生への哀愁が胸に迫り、恐ろしい凶悪犯罪の物語であったのに、最後には不思議な安らぎすら覚えるという深みのある読後感でした。


すべての人間が親との関係を何らかの形で引きずって生きているということを再確認するきっかけにもなりました。謎解きというより追跡サスペンスの趣ですが、ぐいぐいと引き込まれる厚みのあるミステリと言えると思います。
次はこのひとの短編集を試してみようかと思っています。


孤独の歌声 (新潮文庫)

孤独の歌声 (新潮文庫)